その研究によると、「仕事を見つけるための人脈作り」などの目的をもったネットワーキング行動において、人は「道徳的で純粋であるはずの『自分』を汚しているような意識」を感じやすいのだそうです。
研究では、権力、パワーをもった人、つまり「有名で地位が上の人」は、その居心地の悪さは感じにくく、「地位が低い人」ほど不快感を覚えることが指摘されています。
権力がある人は「(話す)機会を与えている立場」で、ない人は「与えられる立場」という意識が働くのかもしれません。
いずれにしても、「人脈」「ネットワーキング」といった言葉にどこか、「うさんくささ」を感じてしまうのは、こうした心理が働いている可能性があります。
「クラブハウス」にも多い「人脈自慢」の人たち
私は、人の心を動かすコミュニケーションの研究をしているので、時折、「話がうまい」と言われる人のトークを聞きに、“フィールドワーク”に出かけます。
「(自称)カリスマ投資家」や「啓発系のリーダー」など、かなり怪しげなのですが、大勢のファンがいる人。彼らが、よく使う説得術のひとつが「人脈自慢」です。
そういう人たちに限って、元首相などとのツーショット写真を映し出して、「いかに自分が有力者とつながっているのか」を喧伝します。実業は何をしている人なのかわからないけれど、人脈だけで食べているような人も中にはいます。
あるとき、そんな人が主催するパーティーに行ってみると、目がくらむほどダイヤモンドが埋め込まれた大きな時計をした青年が「人類を救う」と息巻いていたり、マダムたちが独自の美容法や美容サプリを一生懸命にアピールしたりしていました。
サラリーマン社会ではまったく出会う機会のなかった「意識の高い」人たちが、成功のカギを求めて、「人脈作り」にいそしむ姿に圧倒されました。
最近、はやりの音声ソーシャルメディア「クラブハウス」でも、「人脈自慢」派の人たちが、徒党を組んで、「布教」活動をしている姿も目立ちます。
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