「味噌でおにぎり」災害時に心を支える食のコツ 思い出レシピ500通からわかったこと
最低限の水と熱源、炭水化物を確保しておく。事前準備の重要性はよく言われるところですが、こうしてイメージすれば、その大事さが伝わるのではないでしょうか。これを1つ目のコツとしてぜひ覚えておいていただけたらいいかと思います。
2つ目のコツは、米を炊いたときには「おにぎり」にするということです。実はおにぎりは、思い出レシピに最も投稿されたメニューでした。
災害時の食としてのおにぎりの魅力のひとつは、少しの付け合わせでバリエーションを作れることです。
「生の味噌」を使ったおにぎり
被災時、“神棚の塩”をおにぎりにふりかけたといった投稿が寄せられていますが、それ以外にも、印象に残った具材として「生の味噌」がありました。
「生味噌のおにぎりを食べるという話を西日本にお住まいの方が聞いて驚いていたが、私はいつもの味でホッとした」(福島・40代女性)
筆者も大阪の出身で、生味噌を使うおにぎりにあまり馴染みがなかったので、実際に食べてみました。
――「ああ、これヤバい!」
味噌だと塩辛いのではと心配だったのですが、量の配分にさえ気を配れば、とてもおいしいものでした。しかも塩やしょうゆだけで食べるおにぎりと比べて、香りが強いため、ぐっと料理らしさが出ました。
思い出レシピの取材では、素材に一工夫をするだけで、味わい深い料理に変わるという体験を何度もしましたが、災害時には「おにぎりに味噌」と知っておくと、役に立つかもしれません。
そして、3つ目のコツが「冷凍庫にある食品を使う」ことです。
岩手県・40代女性は 「停電が続き冷凍庫のものを無駄にしないようにと、大切にとってあったアワビ、イクラ、塩ウニ。毎日が年越しのようだった」と投稿してくれました。
北海道胆振東部地震を経験した方の投稿でも、停電した時に「冷凍庫に大量に買い込んだ鶏肉を傷まないように使っていたのだが、他の家でも魚や牛肉で同様の状態になっていた」というものがありました。
災害後の数日間、ライフラインが止まっても冷凍食品が食卓で活用できたこと。これは、災害時の食生活を考えるうえで重要な事実ではないでしょうか。
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