後発薬大手、日医工が「製造不正10年」の唖然

ワンマン社長の売上高至上主義が招いた歪み

田村社長が自社の成長スピードに対応できなかったと話し、現場では欠品を避けることが絶対視されていた背景には、“官製市場”として後発薬市場が短期間に急激な拡大を遂げてきたことがある。

「ジェネリック医薬品」とも呼ばれる後発医薬品は、新薬の特許が切れると発売される同じ有効成分の薬だ。新薬メーカーのように多額の研究開発投資を行う必要がないため価格を安くできる。

膨らみ続ける医療費を抑えるために、政府は後発品の使用を促進してきた。厚生労働省によれば、2005年に32%だった医薬品の中での使用割合は2020年9月には78%まで伸びた。日医工も、こうした追い風を受けて業容を拡大。2010年度以降の10年間で、売上高は2.5倍にまで拡大している。

高い目標を掲げるも未達が続く

また、日医工は創業家の田村氏が20年間社長を務めるワンマン経営で知られ、「業界の中でも特に売上高へのこだわりが強かった」(同業他社)。ある中堅社員は「田村社長の号令で、期初にストレッチした計画を立てることが多くなっていた」と話す。しかし2017年度以降、期初に掲げた売上高の予想は、4年連続で期中での下方修正を余儀なくされている。

市場の成長が鈍化し始めていたここ数年は、同業の買収にも積極的だった。2018年には新薬メーカー大手・エーザイの子会社で後発品メーカーのエルメッドエーザイを170億円で買収。さらに、すでに一連の製品の回収が始まっていた時期である2020年7月には後発品メーカー・武田テバファーマの工場と一部の製品を買収している。

折しも2021年2月には、中堅後発品メーカーである小林化工が試験結果の捏造などで116日間の業務停止命令を受けたばかり。日医工と小林化工という個別の企業の問題が大きいとはいえ、相次ぐ品質問題によって後発品業界全体のイメージダウンは避けられない。

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