「空回り」している上司に必要な3つの自問自答 まずは「自分の内面」の観察から始めよう

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ところが、自分の感情を観察し始めると部下への対応が変わりました。例えば、部下に対して怒りの感情があっても「この感情をそのまま伝えれば、部下を萎縮させる。部下がより受け止めやすい言葉に変えられないだろうか」と知恵を絞るようになったのです。また、「今、怒りの感情を数値化すると8くらいだな。これが2に下がるまで、コーヒーでも飲んで落ち着くか……」といった冷静な判断ができるようになりました。

日々の部下とのやりとりでも、その時々の相手の感情を想像するようになりました。「相手はきっとこんな気持ちだろうから、こういう言葉をかけよう」「こんな態度で接しよう」と、発想と行動を変えると、以前と比べて、部下の反応がかなりよくなったそうです。

「今、起きていること」を観察する

もうひとつの観察対象は、「今、自分の周囲で起きていること」です。自分のチームを客観的に見て、現在どのような状態なのかを観察しましょう。

この場合、次の3つを自問自答すると、客観的な観察がしやすくなります。 ① チームとして、何がうまくいっているのか? ② チームがよりよくなるために、何が必要か? ③ ①と②の考察から気づくことは何か?

①について、「チーム内で空回りしている」とはいっても、その中で「うまくいっていること」もあるはずです。まずそれを具体的に洗い出してみましょう。どんな小さなことでも構いません。「ここはうまくいっているんじゃないか」という点をどんどん挙げましょう。

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一方で、「チームがもっとよくなる」ために、何が必要なのかも検討します。これが②です。最後の③で、①と②を考えていく中で、気づいたことを明らかにしていきます。

この3つの自問自答は、私自身がコーチングのセッションでお客様に問いかけているものと同じで、相手に自分の現状を客観的に観察してもらい、今後、各自が取り組むべき課題に気づいてもらうのが狙いです。

悩みがあると、「すべてがダメだ。うまくいかない」と全否定してしまいがちですが、3つの自問自答によって、うまくいっている部分があることに気づけます。うまくいっている部分を明確にしたうえで、改善すべき点を探り、取り組むべき対策を具体化します。

あせらずに一度、立ち止まる。遠回りのようで状況を打開する最短かつ最善の方法です。

林 健太郎 リーダー育成家 合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ

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はやし けんたろう / Kentaro Hayashi

一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏と出会い、プロコーチを目指して海外修行に出る。2010年にコーチとして独立。日本を代表する大手企業などで、のべ650人を超えるビジネスリーダーに対してコーチングを実施。『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』を運営。著書に『できる上司は会話が9割』(三笠書房)。

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