あまりに厳しいVAIOの船出

ファンド傘下での先行きは五里霧中

7月1日、VAIO株式会社が発足。都内で船出の記者会見を行った

厳しい船出――。ソニーから日本産業パートナーズ(JIP)へのパソコン事業譲渡から生まれた「VAIO株式会社」の課題は、数を追わず、高付加価値商品で勝負し、世界的にも認知されるブランドに成長した原点へ立ち返ることだ。しかし、発表内容を聞く限り、想像通りの厳しさだった。

すでに発表されていた通り、VAIOは240人の社員でスタートする。長野県安曇野市にあったソニーのVAIO開発・生産拠点が本社となり、設計、生産もすべて安曇野で行われる予定だ。このことからもわかるとおり、VAIOは生産規模を追わない、いや生産規模を追うことができない極小のファクトリーメーカーからの再出発となる。

VAIOという製品に対する負の評価は枚挙にいとまない。昨年度、ソニーが販売したVAIOはワールドワイドで580万台程度とみられる。このうち国内販売分は70万~80万台程度。VAIOの代表取締役に就任した関取高行氏は発表会で「初年度30万~35万台の生産規模」を目指すという。

販路を絞り込み

ざっくりと従来の国内需要の半分程度を確保する計画だが、かなり強気の数字と評価せざるを得ない。販売モデル数が激減するほか、販路も大幅に絞り込まれるからだ。また新製品についても「3名のエンジニアが商品企画・開発を進めている」というが、本日の発表会では製品計画について語られることはなかった。

VAIOが船出の時に用意するモデルは軽量薄型モバイル機のVAIO Pro 11/13と、メインストリーム機のVAIO Fit 15Eの3モデルのみ。VAIO Duoシリーズや新シャシーとして発表後、間もないVAIO Fit Aシリーズ、タブレット型のVAIO Tapシリーズなどは引き継がれない。

また販路に関しても、コンシューマ向けはソニー・マーケティング(SMOJ)と総代理店契約を結び、ソニーストア(一部、リアル店舗もあるが、基本的にはネット専売)、およびSMOJとの契約を持つe-ソニーショップに限られる。一部の量販店の店頭でも注文を受け付けSMOJを通じて販売するものの、これまでVAIOを国内でもっとも多く売っていたのはヤマダ電機で、ソニーストアは第2位だったと関係者は話す。ソニー系販路のみとなれば、消費者との接点が、既存のソニーファンに偏るだろうことは想像に難くない。

一方で企業向け販路については、大塚商会、シネックス、ソフトバンク、ダイワボウなど代理店契約先を大きく広げている。国内30万台以上を確保していくには、企業向け販売がひとつの鍵になるだろうが、今回の発表会で詳しく語られることはなく、彼らがどの程度、VAIOを企業に販売していくのかはまだ不透明な面もある。これでVAIOは成長戦略を描くことができるのだろうか。

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