「郊外マンション」コロナ禍での販売に意外な壁 在宅勤務で都心に住む必要はないというが・・・
市原市の物件は京葉臨海工業地帯への勤務者、四街道市の物件は市内および隣接する自治体を念頭に置く。同社によれば、2019年に襲来した房総半島台風を契機に風水害に強いマンションが見直されたほか、駅から遠い戸建てに住む世帯の買い替え需要も増しているという。
郊外においては、他社の供給動向や過去の供給実績の分析が欠かせない。人口の多くない郊外では、一度に複数のマンションが供給されると需給バランスが緩む。競合物件がなくとも、直近でマンションが供給されていればファミリー世帯を中心とする顧客層の需要が刈り取られてしまう。「四街道駅周辺では2008年以降マンションの供給がなく、住民の間にマンションの購入需要がたまっている」(長谷工広報)。
地元だけではさばき切れない
デベロッパー各社に取材をすると、地元需要に照準を置く郊外マンションでは、おおむね竣工後1年を目処に完売を見据える計画が多い。一方、地元需要を取り切ってもなお在庫が残り、竣工から1年が経過しても完売に至らない物件も少なくない。
マンションを売却して得た資金を次の開発資金に充当するデベロッパーにとっては、値引きやオプション(設備のグレードアップ)の優遇をしてでも資金回収を優先したほうが得をする場合もある。
ところが、郊外の場合は地縁がなければ購入検討者に注目すらされないため、値引きをしても集客につながるとは限らない。ある郊外のマンションでは、販売最終期には1週間で1組しかモデルルームに来なかった。
アプローチできていない客に接触できないか。そうしたデベロッパーの依頼に応えるべく、不動産仲介大手の東急リバブルは2021年1月、家具やオプションなどの「特典」が付き、購入価格の交渉が可能な物件を集めたポータルサイト「アウトレット不動産モール」を開設した。
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