コロナ禍で2040年には3分の1のお寺が消滅 生き残りをかけた住職たち新たな挑戦の中身
両足院の副住職である伊藤東凌氏は「人が来なくなったことで年会費などに頼ってきた宗教法人の脆弱(ぜいじゃく)さが明らかになり、今までの経営方法では成り立たないと気づいた」と言う。なるべく丁寧に「時代に合った経営方法」を探して変わらなければならないと話す。
日本の仏教の歴史上、存亡にかかわる最大の危機
6世紀までさかのぼる日本の仏教の歴史上、これほど危機的な状況はまれだろう。宗教学が専門の国学院大学の石井研士教授によると、人口の高齢化とともに寺院の3分の1以上が40年までに消滅する可能性がある。
収入も減っている。京都・正覚寺の住職でジャーナリストでもある鵜飼秀徳氏の試算では、寺院の合計収入は20年に2630億円と、15年と比較して約51%減った可能性が高い。
日本経済は当初の打撃から回復しつつあるものの、都市部での緊急事態宣言は引き続き消費の重荷になっている。小売りなど対面でのサービスが基本の業界への影響がとりわけ大きく、レストランやホテルの倒産が相次いでいる。
都内にある築地本願寺もコロナ禍による社会の変化の中で模索している。安永雄玄・代表役員宗務長によると、昨年5月に親族が集まるのを避けたい人たちのためにオンラインでの法要を初めて実施、その後、約70回、同様の行事を執り行ったという。
国内大手銀行で20年以上にわたって勤務したキャリアを持つ安永氏は、結婚相談所やカフェ、ヨガ教室といった旧来の寺院のイメージとは異なる領域にも踏み出していると説明する。
米アマゾン・ドット・コムがオンライン利用者の多様なニーズに応えてきたのと同じように「お寺もリアルとバーチャルを組み合わせていくのがアイデア」だと同氏は話した。
原題:Online Funerals, Zen Apps Keep Japan’s Buddhist Temples Afloat(抜粋)
著者:富沢綾衣
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