広瀬アリス「すずの姉」というレッテルの大誤解 「知ってるワイフ」3役演じ分けられる絶対理由

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また、今月3日、広瀬アリスさんはツイッターに、彼女の人柄を表す象徴的なフレーズをつづっていました。あるフォロワーから「(エゴサーチをよくするという広瀬アリスさんに)嫌なこと書かれてたら落ち込まない??」と尋ねられて、「全然かなぁ。私の悪いところを見つけるために私が出てる番組をちゃんとチェックしたり私の名前をわざわざエゴサしたり私のアカウント観に来たり私の悪口言うためにわざわざアカウント作ったりしてさ。私のことがもう気になって仕方ないんだなーって思う(嬉し泣きの絵文字)」と返していたのです。

比べたがる人々をスルーできる境地に

ある番組では、「仕事では明るく振る舞えるけど、1人になると涙が止まらないときがある」と話していたことから、すべてが本音ではなく、そう思わざるをえないところがあるのかもしれません。

ただそれでも、「すずの姉」というレッテルを貼る人々への対応と同じように、懐の深さを見せていることは間違いないでしょう。そんな懐の深さを持つ広瀬アリスさんだからこそ、「知ってるワイフ」で2児を育てるモンスター妻、女子高生や女子大生、キャリアウーマンのそれぞれに寄り添った演技ができるのです。

たとえば、元春に向けた鬼の形相や怒鳴り声はワンオペに苦しむ既婚女性たち、目を輝かせて好きな人を追いかける姿は恋する未婚女性たちからの共感を集めていますが、これはさまざまな女性の気持ちを代弁できる懐の深さを持った女優だからでしょう。

広瀬姉妹はツイッター上でも仲良くコメントを交わしていますが、「広瀬アリスさんがボケて、広瀬すずさんがツッコミを入れる」というケースも多く、フォロワーたちを楽しませています。どちらも、それぞれの姉と妹というだけの振る舞いであり、すでに2人は比べて勝ち負けや優劣をつけたがる人々の声をスルーできる境地に入っているのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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