プライド 真山仁著
老舗の洋菓子メーカーで賞味期限切れ牛乳を使用していたことが発覚した。
社内改革の急先鋒だった柳澤は、告発文書を作ったのではと、上層部から疑われる。柳澤は調査に訪れた工場で、問題を起こしたのは、再雇用されていた、ある職人であると知らされる。その人物こそ、入社直後の柳澤に品質管理をたたき込んでくれた人物だった。
一体、なぜ彼がそんなことを? 柳澤は調査を進めるうち、一筋縄ではいかない製造現場の苦悩を思い知ることになる。結末、読者には意外な真相が明かされ、深い余韻を残す。表題作『プライド』は働く者にとって、誇りとは何かを突き付ける。
そのほか、変人の農水官僚が事業仕分け人である与党政治家と対決する『一俵の重み』、ミツバチの大量死を扱った『ミツバチが消えた夏』など現実の出来事にヒントを得た6作品を収載。
著者ならではの綿密な取材が加えられ、巧みな切り口と意外性に富んだ短編小説集に仕上がった。
新潮社 1470円
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