家の掃除が追い風?「中古品」買取が増える訳 衣服や宝飾類、スマホなどニーズはさまざまだ

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百貨店催事については、予定していた催事の多くがキャンセルされ、2020年第2四半期は壊滅的な状況だったようだ。一方で、ECは自社サイト・他社モールともに夏頃から大幅に伸びたという。

岩田社長は「ECによる購入層は、日常的に着物を愛用している中高年やシニアの女性客も多く、コロナによって、消費者の購買行動様式が完全に変わった 」と話す。一般消費者向けの販売比率は、コロナ前の2019年度は10%であったが、2020年度では、14%程度まで増えた。

また、こうした状況を下支えしている要因として、同社ではリユース事業の主要KPI(重要業績指数)に「出張訪問数」と「出張訪問当たり変動利益」の2つを設定している。

KPIの徹底した推進と管理

1つ目のKPIの「出張訪問数」は、採用人員を増やすことと、広告宣伝費の投下による訪問アポイント数を増やすことによって増加を図っている。2020年第3四半期の出張訪問数は4万7344件で前年同期比3.5%増とコロナの影響から回復。第4四半期は5万4603件と前年同期比17.2%増になった。

もう1つのKPIである「出張訪問当たり変動利益」は、出張訪問あたりの「売上総利益」から「広告宣伝費」を差し引いたものだ。変動利益を拡大するには、売上総利益を拡大し、広告宣伝費を効率化することが必要だ。

そこで大事になってくるのが「出張訪問当たり売上総利益」の増加である。バイセルでは3年前に、自社の教育システム「イネ―ブルメント」を構築。これは、トップクラスの成績を出したことがある出張訪問査定員が集結して、営業スキルや査定ノウハウ、お客様評価などをスコア化し、体系的な教育システムとして作りあげたものだ。この教育システムで、新卒社員でも半年で出張訪問査定が可能になるという。

こうした取り組みの結果、出張訪問当たり変動利益は、2017年12月期の通期では2万6716円であったが、その後増え続けて2020年の通期は3万5526円へとアップ。コロナ禍においても堅調に推移している。

コロナでの追い風があったという点もあるが、こうした徹底したKPIの推進や管理が、同社の直近の安定した状況に貢献しているようだ。

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