家の掃除が追い風?「中古品」買取が増える訳 衣服や宝飾類、スマホなどニーズはさまざまだ

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3つ目の要因は、昨年12月から、「5000円スマホ」「10000円スマホ」といった「価格カテゴリー販売」を開始したことだ。その背景・狙いは、「わかりやすい商品が欲しい」というユーザー層の獲得にある。

「従来は、スペックによって7980円とか、12980円といった値付けをしていた。しかし、中古携帯は、価格の安さを最優先に選ぶ人が多く、スペックに興味がない人もいる。中古携帯を伸ばしていくには、わかりやすくする必要があると思った」(粟津社長)。

そこで、5000円、10000円とわけ、それぞれの価格カテゴリーでできることをメインに伝えるようにしたことで、顧客獲得にもつながっていった。

課題もまだまだ多い

ここまで衣服、宝飾類、携帯と、コロナ禍における中古品へのさまざまな需要を見てきたが、課題点もまだまだある。

例えば、衣服や宝飾類関連では、対面方式での買い取りや店舗での販売を行っている企業も多いが、ネット上で一気通貫で売買する企業ももっと増えてくるようになるだろう。そうするとより競合激化になる可能性も出てくる。

また携帯の場合は、キャリアショップでスマホを購入する人のほうがまだまだ多い。さらに、中古で買うことに抵抗を感じる消費者も少なくない。前出の中古スマホ販売を手がける「携帯市場」では、スマホやタブレットを買い取った後に、ロジスティクスセンター(岐阜県羽島市)においてデータ消去、検品、クリーニングを丁寧に行っている。

しかし、総務省の「電気通信事業分野における市場検証年次レポート」(2018年度版)によると「バッテリーの持ちが悪そう」「きちんと動作するかわからない」「故障時の保証がなさそう」など、中古の端末に対するさまざまな不安要素が挙げられている。

コロナ禍による一時的な売り上げ増ではなく、長く中古品を買い求めてもらうためには、サービスの質のよさや、利便性、顧客へのサポート体制など、業界全体でも、より徹底することが大切になってくるだろう。

塚本 優 終活・葬送ジャーナリスト

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つかもと まさる / Masaru Tsukamoto

北海道出身。早稲田大学法学部卒業。時事通信社などを経て2007年、大手終活関連事業会社の鎌倉新書に入社。月刊誌の編集長を務める。2013年フリーライターとして独立。ライフエンディングステージの中で「介護・医療」と「葬儀・供養」分野を中心に取材・執筆している。ポータルサイト「シニアガイド」に「終活探訪記」を連載中。「週刊高齢者住宅新聞」などに定期寄稿。

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