日経平均株価の「化けの皮」がはがれそうだ 「短期の株価下落局面」はまだ始まったばかり

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日本でも日経平均株価が2月26日には前日比1202.26円も下落したため、下げ幅は「4年8カ月ぶり」「歴代10位」などと騒がれている。しかし前日比の下落率(3.99%)は、歴代20位(6.53%)に遠く及ばず、軽微な下落でしかない。

そもそもNYダウは昨年末の終値が3万0606.48ドルだ。近づいたとはいうものの、現値はまだ上にあり、今年に入っての上昇幅は消えていない。日経平均株価に至っては、昨年末は2万7444.17円だ。そこから2月16日のザラ場高値3万0714.52円まで、2カ月足らずで3000円以上の幅も上がったこと自体が驚きである。1日に1200円程度下落しても、まだ下落が十分だとは言いがたい。

脆弱な日経平均株価

前回のコラム「日経平均3万円到達でも米国株より割高な理由」(2月15日付)で述べたが、日本の企業収益見通しは上方修正されて来てはいるのだが、修正の度合いはアメリカに劣後している。そのため、アメリカはともかく日本の株価は急上昇を正当化できる根拠が薄い。にもかかわらず、ドルに換算した日経平均株価をNYダウで割った比率は大きく上昇してしまっている、と解説した。こうした日経平均株価の「化けの皮」は、これから一段とはがれていくだろう。

日経平均をTOPIX(東証株価指数)で割ったNT倍率も、高水準にある。国内外の長期投資家が、東証1部の幅広い銘柄の企業収益実態などを個々にじっくりと分析すると、どんどん買い上げていくには値しない、と判断した結果が、投資家の考えの総体として「TOPIXの劣後」に表れているのだろう。

それに対して日経平均株価ばかりがこれまで上がってきた、ということは、海外筋の日経平均先物の吊り上げなどの要因が、大きかったのではないだろうか。

一部では、日経平均株価の上昇に「出遅れた」TOPIXが追い付いていく、との議論もある。だが以上を踏まえると、これからアメリカ株が調整する局面においては、上昇の根拠が相対的に薄弱だった日本株の下落率のほうがきつく、さらにTOPIXよりも日経平均株価の下落が大きくなると懸念している。つまり、下向きの方向で、TOPIXに日経平均株価が追い付いていくのだろう。

それでも、これも繰り返し過去の当コラムで述べてきたように、「十分な」株価下落が済めばそれ以上に株価が落ち続ける理由は消える。その後は年末に向けて、長い流れでの世界経済の持ち直しを反映して、日本株を含めた世界株の上昇基調が復活すると予想している。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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