日経平均株価の「化けの皮」がはがれそうだ 「短期の株価下落局面」はまだ始まったばかり
これは以下のような説明が一般的だ。現在の株価は、将来の企業の利益や配当を現在価値に割り引いたものだと解釈される。
利益や配当のように、将来の支払額が確定していない(リスクがある)ものについては、割引率は金利に上乗せ分(リスクを冒すことに見合うだけの「ごほうび」であり、「リスクプレミアム」と呼ばれる)を加えたものとなるが、金利全般が上がれば、この割引率も上がる。
成長株の場合、足元の利益というよりも「将来の利益が大きくなるとの期待」がもっぱら株価を支えている。そのため、金利上昇が先行きの利益の現在価値を押し下げるように強く働き、株価調整が大きくなるわけだ。
個別銘柄で見ても、代表的なGAFAについては、年初来の株価騰落率をみると、アルファベット(グーグルの親会社)こそ15.4%の上昇となっているものの、アップルが8.6%下落、フェイスブックが5.7%下落、アマゾン・ドット・コムが5.0%の下落と、結果として昨年末を下回ってしまった。
長期金利の上昇が株価下落の「本質」なのか?
では、足元の主要国の株価反落は、アメリカの長期金利上昇によってもたらされたものだろうか。筆者は、金利上昇は株価下落の単なる「きっかけ」であって、下落要因の「本質」ではない、と考えている。
10年国債利回りが上昇したと言っても、昨年までの0.9%台の推移が、せいぜい1.5%近辺まで上がっただけだ。過去の同国の長期金利水準と比べて依然低いことは変わらない。
しかもその利回り上昇は、景気回復期待により製品やサービス、原材料などの需給が逼迫して物価が上がる、との期待が大きく働いているようだ。「景気が良くなり、その実力で金利が上がる」ということであれば、特に悪質な金利上昇とは言いがたい。
このため、足元の長期金利上昇によって「回復基調にあるアメリカの景気や企業収益がいきなり後退方向に折れ曲がる」「金利負担が企業や家計を追い詰める」「住宅や高額の耐久消費財販売が一気に悪化する」などといった展開は、まったく見込みにくい。
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