日経平均株価の「化けの皮」がはがれそうだ 「短期の株価下落局面」はまだ始まったばかり

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加えて、2月22~23日に行われたジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の議会証言に示されているように、連銀は景気の先行きを極めて慎重にみており、現在の金融緩和はかなり長い間維持されそうだ。そのため金融環境が引き締められた状態に向かうことも、すぐには予想できない。

このように、長期金利上昇が株価下落の「本質」ではない、ということは、「本質」は別のところにあるわけだ。真の株価下落要因が変わらなければ、長期金利が上げ止まったり多少低下したりしたところで、株価下落基調は続く、と見込まれる。実際、先週末(2月26日)には10年国債利回りは1.40%台で落ち着いて推移し、これまで下落がきつかったナスダック総合指数は前日比で反発した。だがNYダウやS&P500の下落は止まっていない。

行きすぎた株価上昇の「ツケ」を払っているだけ

では、何が先週までの株価反落の真の要因なのだろうか。筆者は、これまで当コラムで主張してきたように、最近の主要国の株価上昇が、足元の景気のもたつきと比べて行きすぎであり、その株価の行きすぎた上振れの「ツケ」が生じ「始めた」ことが、株価反落の本質であると、引き続き考えている。

前述のように、金利上昇が高PER銘柄の株価を大きく押し下げたという「形式」とはなっているが、もともと最近までの株価上昇は、GAFAなどを中心とした高成長銘柄に偏ったものとなっていた。

どうして偏ったのか。それは、成長期待銘柄が「実力相応」で上がったというよりは特定の銘柄の株価上振れが続いたため、「上がるから買う、買うから上がる」といった「勝ち馬に乗る」投資家のなだれ込みが起き、株式市場全体でも銘柄別の物色でも、行きすぎてきたと解釈している。その行きすぎの「歪み」の修正が、たまたま長期金利上昇を単なる「口実」として、顕著になったのではないだろうか。

株価反落の本質が、行きすぎた株価上昇の「正常化」であるとすれば、どうなると株価下落が止まるかと言えば、十分に株価が下落すれば止まる、ということになる。筆者はまだ株価の下落基調は始まったばかりだと解釈しており、この先十分な株価の下押しなしに、上昇基調が無傷で復活するとは考えていない。

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