日本人女性の自殺がコロナ禍で増えている背景 経済的、精神的な影響が女性たちを襲っている

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失職していない人であっても、多くのストレスに見舞われる可能性がある。パンデミックが起きる前は、在宅勤務は日本ではめずらしかった。それが突然、遠く離れた上司のご機嫌をとるだけでなく、子どもたちの安全や衛生対策を考えなければならなくなった。子どもたちもウイルスに弱い、高齢の両親を守ることを考えなければいけないケースもある。

「人とかかわることができなかったり、ストレスを共有することができなかったりすれば(プレッシャーを感じたり、うつ状態になることは)驚きに値しない」と、京都外国語大学社会学部の根本宮美子教授は語る。

女性や若年層が助けを求められるように

自殺未遂を乗り越えた橋本さんは今、ほかの人が自らの感情的な問題を語ることを学んだり、専門家につなげる手助けをしたいと考えている。橋本さんの恋人は、彼女がオープンに鬱のことを話してくれたことを感謝していると言う。

「彼女は自分が必要としていることや、何が間違っているのかを本当に打ち明けてくれるタイプの人です。なので、彼女を支えることはとても容易なことです。彼女自身が必要としていることを声に出してくれるからです」

2人は共同で「Bloste(ブロステ)」という名前のアプリを開発した(「ストレスを発散する」=「blow off steam」の略)。このアプリでは、カウンセリングを求めている人と、セラピストをマッチングができる。

橋本さんはキャリアの長いセラピストだけでなく、キャリアを始めたばかりの人の双方を採用しようと考えている。若い依頼者が支払いやすい料金を設定する可能性が高い人を求めているからだ。最終的には、橋本さん自身も特に女性を対象としたセラピストとして訓練を受けたいと考えている。

「日本では主に女性のキャリアアップや経済面での福祉に焦点が置かれていますが、私は女性のメンタルヘルスを重視したいと考えています」

(執筆:Motoko Rich記者、Hikari Hida記者)

(C)2021 The New York Times News Services

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