今年度内に燃料電池車を売るトヨタの勝算 コストやステーションの課題解決には長期戦
ただし、水素ステーションの整備という最大の課題は残っている。現在、水素ステーションは、全国で12カ所。日本政府は2015年度内に、100カ所程度に増やす目標を掲げ、補助金や規制緩和による後押しを進めている。それでも全国で3万7000あるガソリンスタンドと比べた少なさは一目瞭然で、一般家庭で安心してFCVを使う状況にはほど遠い。
水素ステーションがなければFCVは普及せず、FCVが普及しなければ水素ステーションの整備が進まない。いわゆる“ニワトリと卵”の問題を、どうクリアしていくか。トヨタだけではなく、エネルギー業界や国も含めた、今後の取り組み次第となる。
まずは三大都市圏中心に投入へ
トヨタは当面、首都圏や愛知県、大阪府など、水素ステーションの整備が予定されている地域を中心に、販売していく。環境への意識の高い個人や企業などへの販売を目指すが、当然のことながら、初年度から多くの台数が出るというシロモノではない。
むろん、トヨタもそれは覚悟の上。加藤副社長は「長い長いチャレンジの始まり」「10年、20年は覚悟している」と言い切った。
(撮影:梅谷秀司)
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