レクサスLS「初期型の不評」克服した熟成の中身 2017年登場の現行モデルはどれだけ進化したか

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ハイブリッドシステムも熟成されてきている(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

要となるハイブリッドシステムは、レクサスのフラッグシップクーペ「LC」(2017年3月発売)から導入された「マルチステージハイブリッド」である。マルチステージハイブリッドとは、トヨタの誇るハイブリッドシステム「THS-II」に4速分の有段変速ギヤを組み合わせたトランスミッションで、体感加速とエンジン回転の連携を強めた新世代ユニットのことだ。現在はクラウンの3.5Lハイブリッドモデルにも搭載されている。

一般的にハイブリッドカーは二次電池(バッテリー)に十分な電力の蓄えがあり、なおかつ低負荷での走行領域では、内燃機関であるエンジンを停止させ電動モーターの駆動力だけで走行する。そしてバッテリーのSOC(State of Charge=充電状態)が低下したり、アクセルペダルを踏み込むなど走行負荷が高まったりするとエンジンが自動的に始動して、電動モーターと内燃機関のハイブリッド走行となる。

LS500hでは電動モーター単独での走行からハイブリッド走行となる際にエンジン始動が遅れるタイムラグ現象があった。具体的にはドライバーが深くアクセルを踏み込んでもすぐにエンジンが始動せず、欲しい加速力が得られるまでに時間を要していたのだ。

さらにエンジン始動時の回転数が2500回転程度と高めであることから静粛性も欠いていた。この現象は、日常走行で多用するゆっくりアクセルペダルを踏み込む状況になればなるほど、欠点として顔を出していた。

乗り心地と走行性能、静粛性を向上

2017年、当時のLS開発主査であった旭利夫氏は筆者のインタビューに対して、「後席での乗り心地に改良の余地があることはわれわれも把握しています。しばらく時間をください。ハイブリッドモデルのタイムラグについては持ち帰り、開発チームと確認走行を行います」と語ってくれた。

そして2019年秋、筆者は取材現場で旭主査と再会した。旭主査は開口一番、「ご指摘の乗り心地とハイブリッドシステムの制御方法について大幅に改善しましたが、お試しいただけましたか!」と満面の笑みをこぼしていた。それもそのはず、登場から2年弱の間にLSは搭載技術を継続的に昇華させ、レクサス独自の乗り味に近づいていた。

2018年夏、サスペンションのうちダンパーの内部構造を見直して乗り心地を改善。ダンパー内のオイルをスムースに流して摺動性を高め、路面からの突き上げを大きく減少させた。

また、ハイブリッドシステムではエンジン制御方法を変更して静粛性を向上させ、制振材の追加で振動も抑制。同時に変速制御も改めてドライバーのアクセルペダル操作に対して自然な加速力が得られるようにした。さらに2019年秋には、ハイブリッドシステムの電動モータアシスト量を増やして走行性能と静粛性を再び向上させている。

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