レクサスLS「初期型の不評」克服した熟成の中身 2017年登場の現行モデルはどれだけ進化したか

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トヨタの最高峰モデルだけにユーザーの期待も高い(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

旭主査は当初から、「ハイブリッドシステムにはまだゆとりがあるので地道な進化を継続し、レクサス独自の乗り味を目指します」と語っていた。初期型の現行LSユーザーは複雑な気持ちになるかもしれないが、こうして時間をかけながら最新技術のさらなる改善を行い、一歩ずつ確実に登ってきた。

このようにLSは、レクサスDNAである高い静粛性と優れた乗り心地を大切にしながら、上位にくるレクサス独自の乗り味を技術の熟成、つまり昇華させるという手段で追い求めてきた。では最上位にあたる電動化と自動化はこの先どうなるのか?

まず電動化は、電気自動車であるレクサス「UX300e」が先陣を切った。2020年春に中国市場、そして同年10月には日本市場にも2020年度分の限定販売135台として市販化された。2022年には新たな電気自動車の導入も公表されている。

2020年12月には電動化パワートレーンとして新たなハイブリッドモデルやプラグインハイブリッドモデルの展開も示され、これによると2023年末までにグローバル市場に対して9車種の導入があるという。

ホンダ「レジェンド」に続いて自動化レベル3へ

自動化はどうか? 2020年11月の現行モデル発売にあわせて、2021年内には高度運転支援技術「Advanced Drive」として、自動化レベル3に準じた技術搭載車が発売される。

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自動化レベル3については2020年11月にホンダのフラッグシップセダン「レジェンド」がレベル3搭載車として型式認定を取得、2020年度内に発売するとしているが、LSはこれに続く形だ。

レクサスの自動化レベル3技術は、トヨタブランドとして燃料電池車「MIRAI」への搭載も決定している。これはLSとMIRAIが同じGA-Lプラットフォームを使用していることも大きく関係する。

過熱する脱ガソリンのムーブメント以降、各国の自動車メーカーはこぞって電動化を口する。一方、ここ5年ほど熱気を帯びていた自動化に対してはやや足踏み傾向のように思える。そうしたなかレクサスが採った3層構造の中長期ビジョンはバランス感覚に優れたものだ。

電動化と自動化を同じ土俵で捉え、技術開発と市販化を進めることは容易ではないが、自動化システムが要求する電力は増加傾向にあることから、車両のさらなる電動化は自動化にとっても不可欠である。LSはその牽引役となる。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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