JR東の新顔E131系、地域密着「標準車」の将来性 先輩車両の知見「いいとこ取り」今後の展開注目

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運転台は左右のドアを開閉するスイッチや、車両側面に取り付けたカメラで乗降の様子を確認できるモニターを設け、ワンマン運転に対応した設計とした。

ワンマン運転に対応した乗務員室(記者撮影)

2両編成の外観の印象はE129系に近いが、山手線や横須賀・総武快速線に投入したE235系と同様の技術を採用しており、E131系には“先輩車両”の知見を「いいとこ取り」した面がある。例えば、主電動機には塵埃による汚れを防ぐ全閉型誘導電動機、制御装置には消費電力を抑えられるSiC(炭化ケイ素)半導体素子のVVVFインバーター制御を用いている。

車いす対応の大型トイレやフリースペースもE235系などと共通。吊り手は高さに変化をつけてつかまりやすくしたり、優先席部分では色を変えたりと工夫した。一方でE235系の普通車にはないクロスシートを導入した。前面のドット柄のデザインは「GV-E400系気動車」でも採用されていて、いたるところに先輩車両の影響が感じられる。

車両数を柔軟に変えられる特長

E235系などは、従来2両単位だった電動車を1両単位として編成の長さが異なってもMT比(電動車と付随車の比率)が一定に保てるような造り方をしており、「もっと短い編成に対応したのがE131系」(菊地所長)という位置づけだ。別の車両担当者は「2両単位で増やす概念ではなく、3両で適した線区には3両で入れるとか、どういう線区でも入れられるようにした」といい、線区の性格に応じて3両、4両、5両など、編成の車両数を1両ずつ柔軟に変えることができるのがE131系の特長と言える。

ただし、他線区に展開をする場合について菊地所長は「ワンマン運転になるかどうかはまた別の話。いま3両や4両の編成が走っている路線だからといって、そこにE131系を投入するとも限らない」と話す。

セミクロスシートの車内(記者撮影)

千葉支社はダイヤ改正前の3月上旬に外房線の勝浦駅、内房線の館山駅、鹿島線の潮来駅で一般向けの展示会を開催する。同支社は「『半自動ドア』も体験できます」とアピールするが、これには利用者に対してドアボタンの使用に慣れてもらう狙いがあるようだ。

菊地所長は「内房線・外房線エリアに新車を入れるのは113系以来、51年ぶり。最新の設備や快適性を感じてもらい愛着を持ってもらえれば」と期待を示す。総武快速線にE235系、内房線・外房線にはE131系と、新型車両の登場が相次ぐ房総半島。今年は車窓の菜の花も少し違って見えるに違いない。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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