田園都市線新車「ドア横スペース」はなぜ広いか 「狛犬ポジション」の邪魔を回避し遅延抑制
通勤電車の車内で人気の高いスペースが「ドアの横」。座席端の仕切り板とドアに囲まれた空間は混雑時も比較的ゆったりしており、座れない車内で狙う場所はここ……という人も少なくないだろう。
ドアの両側に人が立つ様子を神社の狛犬になぞらえて「狛犬ポジション」などとも呼ばれるこのスペース。寄り掛かってスマートフォンを操作したり本を読んだりするにも楽だが、まさに狛犬のごとくポジションを死守する人の存在が乗り降りの邪魔になるのも事実だ。
乗り降りにかかる時間が延びると、とくに朝夕のラッシュ時は列車の遅れにつながる。国土交通省がまとめた東京圏の鉄道の遅延原因(2018年度)によると、10分未満の遅延のうち48.3%は「乗降時間の超過」が原因だ。
全国有数の混雑路線として知られる東急田園都市線に、この「狛犬」対策としてドア横のスペースを広げた車両が増えつつある。はたして効果はあるのだろうか。
ドアの横に幅38cmの空間
ドア横のスペースを広げたのは、2018年3月から運行している田園都市線の新型車両「2020系」(10両編成)のうち、2019年秋以降に導入した編成の4・5・8号車だ。ほかの車両はドアから座席端までの幅が15cmなのに対して、これらの車両は38cm。大人1人がほぼ収まる広さだ。
狙いは、乗り降りをスムーズにして乗降時間、とくに降車にかかる時間を短縮し、遅延の抑制につなげることだ。
「パーソナルスペースが確保できるドア横は必ず埋まる場所。その空間を広げて、お客様が立っていても出入り口をふさがない状況を作り出せば、乗降時間の短縮につながるのではないかと考えた」と、東急電鉄車両部車両計画課の前野良輔課長補佐は話す。
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