田園都市線新車「ドア横スペース」はなぜ広いか

「狛犬ポジション」の邪魔を回避し遅延抑制

開発がスタートしたのは2016年の1月ごろ。遅れを生む要因の1つである駅での降車時間を短縮する方策として、車両側で何か工夫ができないかと考えたのが発端だったという。ホームドアの整備に向け、それまで乗降時間の短縮に効果を上げていた「6ドア車」の廃止が決まっていたことも関係している。

取り組みは、ドア脇に人が立っている場合といない場合で乗降時間にどの程度差が出るのかを確認するところから始まった。

乗務員研修施設にある実物車両のドア1つ分の車体モデルを使い、教習生39人の協力を得て乗り降りのシミュレーションを実施。1つのドアから降りるのにどの程度時間がかかるか、ドア横に人が立っていると降車時間にどう影響するかなどを検証した。39人という人数は、1両当たりの定員がおおむね150人強のため、車体の片側に4つあるドアの1つ分という想定だ。

「少し内側に入ってもらえれば」

さまざまな条件で検証を繰り返した結果、ドアの両脇に人が立っている場合は、立っていない場合に比べて降車が終わるまでの時間に17秒もの差が出ることが明らかになった。ドアの幅は1.3mあり、「狛犬ポジション」に誰もいなければ同時に2~3人が降りられる一方、人が立ち止まっていると事実上1人ずつしか降りられないためだ。

そこで考えられたのが、ドア横に立ち止まる人が降車の邪魔にならないようにすっぽり収まるスペースを確保するという方法。「お客様に少し内側に入ってもらえば、誰も立っていないのとほぼ同じ状態になる」(前野さん)という発想だ。

次ページ広くしすぎても問題がある
鉄道最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナでもブームは過熱中<br>不動産投資 天国と地獄

家計のカネ余りを背景に、マンションやアパートなどへの投資熱は冷める気配がありません。しかし、不動産投資にリスクはつきもの。先行きが見通せない状況で、何が優勝劣敗を分けるのでしょうか。現場の最前線を追いました。

東洋経済education×ICT