ビジネスセンスと脳習慣の切っても切れない縁 不確実性が増す時代に最強の武器となる「感性」
違いがわかる人、わからない人
私たちが「あの人センスがあるね」と誰かを評価するとき、その人の感性や感覚の鋭さ、敏感さが前提にあると思います。かつて、某インスタントコーヒーメーカーのCMで、「違いがわかる男の~」というのがありました。違いがわかる人は、感覚がそれだけ鋭敏で、いいものとそうでないもの、好ましいものと嫌なものを明確に感知します。
一方、違いがわからない人は、何でも一緒です。コーヒーであろうが、料理であろうが、洋服であろうが、いいものとそうでないもの、好ましいものとそうでないものの区別やこだわりがありません。感覚が敏感で、違いがわかる人はセンスがある人です。違いのわからない人は、残念ながら野暮ったく、「センスのかけらもない」などと酷評されてしまいます。
人間の感覚は元々、鋭敏にできています。というか、環境と訓練によって鋭敏に発達します。たとえば、機械やセンサーなどで検知できない数ミクロンの歪みを、旋盤工のベテランの職人などは触っただけでわかると言います。宇宙ロケットなどの精密機械では、最後の仕上げはそんな職人たちの鋭敏な感覚に頼っているそうです。
私の親戚に、某自動車メーカーのテストドライバーだった人物がいるのですが、彼は車に乗ると、車体の形が1ミリ違っただけでわかるそうです。微妙な風圧やバランスの変化が、ハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作を通じてわかると聞いてびっくりしました。
最終的に、彼らはどんな車が、いちばん乗り心地がいいかを判断するわけですが、「乗り心地」という主観的で感覚的な世界は、もはや数値やスペックでは表現することが不可能です。だからこそ感覚のとび抜けて鋭い、テストドライバーの存在意義があるわけです。
こうした感覚やセンスの有無は、どのように決まるのでしょうか。
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