28歳「岩谷麻優」が女子プロレスで掴んだ生き様 引きこもりでポンコツだった彼女が変われた訳

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最近、岩谷さんには、人生の目標が見えてきたという。

「将来の目標を聞かれたら、『寿引退したいです』と答えていました(笑)。それは本当なんですが、それとは別に、今の女子プロレスをもっと広げていきたいですね。

女子プロレスというと、北斗晶さんやアジャ・コングさんの世代で認知が止まっていると思います。今の女子プロレスをもっと知ってもらい、ファンの皆さんが堂々と、

『女子プロレスのファンです!!』

と公言できるくらい認知度を高めたいです。これは女子プロレス界全体で変わらなきゃいけないことですけど、でも先頭に立って引っ張るのは自分でありたいと思います」

「ファンの皆さんが堂々と『女子プロレスのファンです!!』と公言できるくらい認知度を高めたい」

来る3月3日には、格闘技の聖地・日本武道館でビッグマッチを控えている。対戦相手は、SEAdLINNNGの世志琥選手。団体の垣根を超えて、現在の女子プロレス界のトップ同士が戦う、女子プロファンにはたまらない一戦だ。

「スターダムが生まれてから、いちばん大きな会場での興行ですから、モチベーションは上がっています。世志琥はスターダムで一緒にデビューした同期なんです。いまは団体は違うけどこれまで10年間、リングの上で身体を張ってきたのは一緒です。これが女子プロレスだっていう、最高の戦いを見せたいですね」

思いを熱く語る岩谷さんの表情は落ち着いていて自信がみなぎっていた。とてもたくましく感じる。

今、引きこもっている人たちへのメッセージ

「確かに自分でもたくましくなったな、と思います。でも今でもリングを降りたら相変わらずポンコツですけどね(笑)。ギャップを楽しんでもらえたらありがたいです。

『引きこもりでポンコツだった私が女子プロレスのアイコンになるまで』は今、引きこもってる人たちに向けて書きました。何かのきっかけがあれば、誰だって人生が変わるチャンスがあると思います」

『引きこもりでポンコツだった私が女子プロレスのアイコンになるまで』(彩図社)

本が発売された後、岩谷さんの下にはいくつも手紙が届いたという。

「私も引きこもりで全然家から出られません。仕事もうまくいきません。でも本を読んで、頑張ろうと思いました」

という内容のものも多かった。

「私はプロレスに人生を救ってもらったので、自分が誰かの人生が変わるきっかけになれたらすごくうれしいです。

新型コロナウイルスの影響で、ファンの人たちと直接会えなくなっているのは寂しいです。でもリングの上では、変わらない熱い戦いをするので、これからも応援してほしいです」

自分の部屋に引きこもっていた、やせっぽちの少女が、こんなにも強く成長するとは、当時を知る人はだれも想像できなかっただろう。

まるで少年漫画のキャラクターのような成長物語であり、話を聞いているだけで胸が高鳴った。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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