ネット授業で集中できない学生救う秘策の正体 顔認証で集中度合いをはかって学習効率向上

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データミックス社の茨木瞬データアナリストは「固定視点映像は映像を見るだけだが、自由視点映像の場合は自分にとってよりよいアングルを自ら探すので集中度が高まるようだ」と分析する。

「トレーナー実技の学びは対面で行うことが常識とされてきたが、先端技術を駆使した挑戦がこの常識を覆した」(東京リゾート&スポーツ専門学校・兼子大次郎主任)。

昨年、全国的にオンライン授業が始まったときには、対面ではないことの弊害が強調されることが多かった。しかし、オンライン授業であってもCLMSを活用することで学生の集中度は高まる。教員から注意されなくても集中度を自分でチェックし、自主的に学習態度を改めることができるのだ。

対面授業と組み合わせたハイブリッド授業へ

また、対面授業とオンライン授業を組み合わせることで従来よりも質の高い学習機会を提供することが可能なこともわかってきた。

東京リゾート&スポーツ専門学校の場合、オンライン授業で骨・筋肉の名称やテーピング方法について学習した後で、教員から直接テーピングの指導を受ければ技術習得は早い。また、実技授業の前に映像を見て予習しておけばより効率的に実技授業を受けることができる。

授業から得たデータをもとにオンライン授業で使用する映像をよりよいものに改良していくことも可能だ。これまでは教員の経験や勘で映像を制作していたが、オンライン授業中に取り込んだデジタルデータをもとに学生の立場に立った映像を制作できる。学生にとって視聴しやすい映像を用意できれば学習効率が上がることは言うまでもない。

三幸学園では2021年に前年度の実証実験で得たデータをもとにして、インターンシップへ行く前の学生を対象にした映像教材を開発する予定だ。インターンシップへの意欲向上を図るとともに、成果を検証する。そして2022年度は専門学校に入学したばかりの学生に向けた初期段階教材の開発を目指している。

大半の学校では新型コロナ感染拡大でやむをえずオンライン授業を始めた。当初は習熟度を担保できるか不安を感じる教員が多かったが、IT技術の活用で授業レベルは着実に向上している。対面授業とのすみ分けや連携も始まっており、オンライン授業は新たな段階に移行しつつあるようだ。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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