サーベラスは質問せず、西武総会に隔世の感 昨年のTOB騒動は何だったのか!?

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報道陣に公開された会場内の様子

会社側の議案は、剰余金・配当の件、取締役8名(新任2名)の選任、監査役2名の選任、役員慰労金の廃止、取締役と監査役の報酬改定の件(取締役の場合、月1500万円から年間6億円を上限に改定)、取締役へのストックオプションの付与など。

一方、株主側からは社外取締役の小城武彦氏の解任や、定款で創業者への敬意を払うこと、外国人投資家を「ハゲタカ」と称するような差別を禁じるよう求めた提案などが7本出されていた。

質問数や時間を制限する議事の進め方に不満を持つ株主から動議が出される一幕もあったが、20人の株主から多くの質問や意見が出された。質疑の中で株主から「上場できて本当によかった」という声が漏れるなど、約10年ぶりとなる上場の実現に対しては、高い評価を得ていた。なお、サーベラス関係者からの質問はなかった。

還元姿勢に不満の声

一番多かった声が、配当など株主還元への意見。年間6円配は少なすぎるのではないか、という意見が相次いだ。会社は今期(2015年3月期)8円配と2円の増配を予定しているが、それでも配当性向が1割前後。これについて、会社側は「現在、数値目標はないが、今回の上場を機に配当性向や配当率などの目標設定を検討していきたい」「株主優待についても拡充を進めている」といった回答があった。

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来年の総会には、再上場後に株を購入した株主も参加する(撮影:今井康一)

次に多かったのが、品川・高輪、所沢など保有資産の再開発の予定について。品川・高輪の再開発については、後藤高志社長自ら「地権者として積極的に関与していきたい」と述べた。

質問に対しては、担当取締役らが逐次回答をしていたが、社長自らが「若干の捕捉」ということで答えるケースが目立った。総会時間は2時間41分と、昨年から大幅に短くなったものの、前年に次ぐ過去2番目の長さとなっており、ある程度は審議が尽くされたといえそうだ。

今年の株主総会は、上場日前の今年3月末時点の株主に対して招集通知が行われている。そのため、実質的に10年以上株式を保有している株主が中心となっている。来年からは、新たに株を持った投資家・株主が総会に出席すると見られ、今年とは違った株主の意見が出されるかもしれない。また、今回質問をしなかったサーベラスは引き続き35・48%を持つ筆頭株主として残っており、そうした大株主の姿がどう変わるかも注目される。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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