インドネシア鉄道、地方でも「205系」が快進撃 元武蔵野線、首都圏以外で初の電化区間に登場

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KAIの運営はいわゆる上下分離方式が採用されている。軌道、信号、通信設備を政府(運輸省)が保有し、車両、駅設備、車両工場、変電所などは鉄道会社側が保有・保守整備を行う仕組みで、KAIは運輸省に施設使用料を支払っている。

運輸省によって改修された駅の例。大きなロゴが運輸省所有であることを主張している(筆者撮影)

しかし、近年は政府がカバーする範囲が広まっている。例えば、国による複線化事業に合わせて駅が改良されると、駅も運輸省所有となる。また、ODAなどの政府間契約で導入される車両も運輸省の保有となる。インドネシア国鉄は1999年に株式会社化されてKAIとなったが、同年以前にODAで導入された車両はKAIに引き継がれた一方で、2000年以降にODAなどで各国の技術を用いてINKAで製造された国産電車は運輸省の所有となった。

2000年代に国内で生産された電車が満足に稼働しなかった要因はここにある。これらの運輸省所有車は鉄道側の意向が設計に反映されていない。KAI(KCI)は押しつけともいえるそんな車両を使用料まで払って使いたくないのである。INKAや運輸省からスペアパーツの供給もないのでオーバーホールもできない。このため、どの車両も3~5年の「使い倒し」で終わった。

一方、同じINKA製でも鉄道会社が直接契約したジャカルタの空港鉄道用車両は問題なく運行している。だから、KCIは自前の車両として日本の中古車を購入するようになり、今回も205系をジョグジャカルタに用意したのである。今ではKAIもKCIも車両の自己保有率がほぼ100%となり、因縁とも言える国との関係に一旦は終止符が打たれたかのように見えた。しかし、今回の電化開業で、その微妙な関係性が再び露呈したわけだ。

「日本式」は今後も広がるか

ジョグジャカルタ地区の電化区間は今後ますます延伸される予定であり、さらにKCIはバンドンやスラバヤなど他都市の電化事業への参入にも意欲を見せている。必要な車両数は増えることになるだろう。

一方、政府からの圧力により、2020年を最後に中古車両の輸入は停止せざるをえない状況だが、国産電車KFWがジョグジャカルタで安定的な運行を続けるかは未知数だ。さすがに首都ジャカルタはKCIがINKAと直接契約で国産新車を導入することになろうが、KCIの財務状況を考えれば調達できるのは年間50両程度だろう。ジャカルタ向けの増備と経年車の置き換えが精いっぱいで、地方部にまで手を回すのは難しい。

そうなれば、なし崩し的に中古車両の輸入再開がなされるのではと筆者は予想する。仮に再開できなかったとしても、経年の浅い205系を中心に地方部へ転出するケースも増えるだろう。

国とKCIの対立は、ヨーロッパ式 vs 日本式の代理戦争でもある。今回、KCIがジョグジャカルタの電車オペレーターとして参入できたのは、日本式の直流1500V電化という大前提があってこそだ。まずは日本にとってのチャンスが生まれたことを喜びつつ、他都市の電化計画についても、水面下でのロビー活動が必要だろう。

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