インドネシア鉄道、地方でも「205系」が快進撃 元武蔵野線、首都圏以外で初の電化区間に登場
2月10日、インドネシア・ジャワ島中部のジョグジャカルタ―ソロ間(約60km)で、同国では初となる地方路線での電車運転が本格的に始まり、ジャカルタ首都圏から転属した元JR東日本の205系電車などが運行を開始した。
電化の試験運行は1月20日に始まっており、当初は関係者をはじめとした招待客のみが乗車可能であったが、2月1日から公式アプリ経由で事前登録した一般客への開放を開始。そして2月10日、ついに本開業を迎えた。
今回の電化開業により、同区間の都市間列車の運行はインドネシア鉄道(KAI)からインドネシア通勤鉄道(KCI)に委託された。KCIはジャカルタ首都圏の通勤電車オペレーターで、2020年10月25日の記事「JR東と『205系』が支えたジャカルタ鉄道の発展」など過去の記事でも紹介した通り、近年の目覚ましい発展はJR東日本との協力関係を抜きにしては語れない。つまり、日本式の電車運行のノウハウが地方部にも拡大するわけだ。
ジャカルタに新車を導入し、日本の中古車を地方線区へ……そんな未来がやってくるのも近いのかもしれない。
2つの古都を結ぶ電化区間
ジョグジャカルタ市は、首都ジャカルタから約600㎞東に位置するジョグジャカルタ特別州の州都である。マタラム王国から続く王室制度を引き継いでおり、州知事にはスルタンと呼ばれるイスラム王侯がインドネシアで唯一世襲している。また、周辺にボロブドゥール遺跡とプランバナン遺跡という2つの世界遺産を擁する観光都市でもある。市内の人口は約45万人弱と決して大きな都市ではないが、独立戦争中は臨時首都が置かれたこともあり、インドネシアにとっての重要地であることに変わりはない。
一方、ソロ市(日本の地図での表記はスラカルタ)の人口は約50万人、現職ジョコ・ウィドド大統領の出身地でもある。歴史的経緯から現在は中部ジャワ州に属しているが、マタラム王国当時の都であり、ジョグジャカルタと同じ文化圏の都市である。
そのためジョグジャカルタ―ソロ間の往来は活発だが、高速道路の整備は遅れており、両都市間の移動はマイカーで2時間弱、客引きをしつつ進む昔ながらの路線バスでは2時間半を要する。
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