「ビットコイン型SNS」じわり広がっている意味 検閲問題解決へツイッターCEOも期待している
この実験はここに来て、新たな重要性を帯びるようになっている。巨大テック企業が問題アカウントの停止に次々と踏み切り、言論空間に対するその強大な影響力が改めて議論の的となっているためだ。
フェイスブックとツイッターは、1月6日のアメリカ連邦議会議事堂襲撃を受けてトランプ氏のアカウントを凍結した。暴力を扇動するという規約違反があった、としている。
アマゾン、アップル、グーグルは極右の間で利用が広がっていたソーシャルメディア、パーラーが暴力的なコンテンツを十分に制限しなかったとして事業関係を停止した(パーラーに対してアマゾンはクラウドサービスの提供、アップルとグーグルは同アプリの配信を止めている)。
「これまで見てきた中で最大の波」
こうした措置はリベラル派や有害コンテンツの反対派から称賛されたものの、保守派や「言論の自由」を保障する合衆国憲法修正第1条の専門家、アメリカ自由人権協会からは非難されている。誰がオンラインで発言してよくて、誰がダメなのかを一民間組織が決めるのはおかしい、という主張だ。
「今回の措置には同意できたとしても、こうした決定を下す人たちの判断がつねに正しいとは1ミリたりとも思わない」と、分散型の動画配信プラットフォームLBRYの創設者、ジェレミー・カウフマン氏は語る。
「個人的にどれほど同意できない内容であったとしても、世の中からのけ者にされている人々が、このサービスによって声を届けられるようになっていることは誇りに思いたい」
今では何十社というスタートアップ企業が、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブ、アマゾンのウェブホスティングサービスに代わるものを提供しているが、これらはすべて分散型ネットワークとブロックチェーンの技術の上に成り立っている。データ会社シミラーウェブによると、その多くはここ数週間で数百万人の新規ユーザーを獲得している。
「これまで見てきた中で最大の波だ」と話すのは、データサイエンティストで、分散型テクノロジーに移行する右派の動きを扱った著作もあるエミ・ベベンシー氏だ。「これまではニッチなコミュニティの議論にとどまっていたが、今ではこうした新興テクノロジーが世界にかなり大規模な影響を及ぼす可能性が議論されるようになっている」。