須賀:明るい未来が見えてくるような感じがします。一方で、日本経済は「失われた30年」とも言われるように、バブル崩壊以降大きく停滞し、さまざまな問題が山積しています。今後、日本社会にとって大きなリスクだと思われていることはなんでしょうか?
柳川:少子高齢化はやはり大きなリスクです。若くて、社会で活躍できる人が減っていきますが、現在の状況をきちんとマネージし、かつ社会全体としてのアウトプットをどうやって増やしていくかを考えなくては、社会保障が回らなくなってしまいます。私たちはとても大きなチャレンジを迎えています。
須賀:コロナ禍でも世代間の分断が垣間見えました。現在のような状況に対する処方箋としては、どういったことをお考えでしょうか?
不自由なく使えるサービスが提供されていない
柳川:やるべきことはシンプルで、支えられる側の人に、できるだけ支える側に回っていただき、生産年齢人口でない方々に、生産者になっていただくことです。団塊の世代の中でも、元気でやる気のある方はたくさんいますから、その人たちが、どうやって社会で活躍するのかを考えることが重要になります。
役職定年以降、少なからぬ人がやる気を失ってしまっているのだとすれば、やはりもったいない構造だと思います。パイの分配だけでなく、全体のパイを広げる活動に対しても、高齢者の方々がどのように参加できるかを前向きに考えることが必要です。
一度引退された方々の中でも、満員電車に揺られて職場に行くようなことは厳しいけれど、家でなら仕事ができるという方は多くいらっしゃいます。ですが、そうした方全員に対して、すぐにZoomなどのツールを使ってオンラインで作業をしてくださいと言うのは、難しいところもあります。
それはサービスを使いこなせない側に責任があるのではなく、むしろ不自由なく使えるサービスが提供されていないことに問題があります。これは企業側の努力が足りていないということで、改善が必要です。本来的には、そのような不自由にこそニーズがあり、ビジネスチャンスがあるはずです。
須賀:確かに多くのサービスのUIには改善の余地が残っていますね。
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