日本人が直面する働き方・学び方の大きな変化 柳川範之「新しい人が日本の未来を切り開く」

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柳川:このことは、ある意味日本にとって大きなプラスになると思います。ヨーロッパやアメリカといった国からすれば、日本はなんといってもファーイーストの国です。ですが、デジタル空間においては、物理的な距離の制約がないので、これらの国に対しても、これまでとは異なる方法で近づいていけるチャンスがあります。気になることは、日本人の側に、近づいていこうというマインドがあまりないことでしょうか。グローバルに近づいていけるチャンスを日本人がどのように活かしていくかということが課題になります。

ファーイーストだったがゆえに、日本には、まだまだ知られていない姿やアピールできるポイントがあるはずですし、輸送手段が確立されたことによってヨーロッパに浮世絵が輸出され、ヨーロッパで日本文化が知られるようになったような動きが、デジタルがデフォルトになった世界でもう一度起こるのではないか、起こせるのではないかと考えています。デジタル空間だからこそ世界にアピールできたり、知ってもらえたりするものがあるはずです。

時間と空間にとらわれない「働き方」が当たり前に

須賀:より具体的に、ご自身がこれまで注目されてきた分野の中で、コロナ禍のこのタイミングで、ついに花開くときがきたと感じていらっしゃるものはありますか?

柳川:花開こうとしているのは、「働き方」だと思います。コロナ禍において多くの人が、物理的にその場所に来なくても働くことができると実感したことは、とても大きかったと思います。やはり、対面で仕事をすることのよさもありますから、パンデミックが収束すれば、会社に出社するスタイルも戻ってくる面もあるでしょうが、多くの人がこんなふうにも働けると実感した経験はとても大きなことだと感じています。

時間と空間にとらわれない働き方というのはもはや当たり前のことになったので、講演のネタにもならなくなりましたね。私としては商売上がったりですが、とてもよいことだと感じています(笑)。

柳川範之(やながわ・のりゆき) 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。中学卒業後、父親の海外勤務の都合でブラジルへ。ブラジルでは高校に行かず独学生活を送る。大検を受けたのち慶應義塾大学経済学部通信教育課程入学。同過程卒業後、1993年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。慶応義塾大学経済学部専任講師、東京大学大学院経済学研究科・経済学部助教授、同准教授を経て、2011年より現職。内閣府経済財政諮問会議民間議員、内閣府全世代型社会保障検討会議議員、東京大学不動産イノベーション研究センター長、東京大学金融教育研究センター・フィンテック研究フォーラム代表等。主な著書に『東大教授が教える独学勉強法』草思社、『40歳からの会社に頼らない働き方』ちくま新書など(撮影:間部百合)
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