柳川:このことは、ある意味日本にとって大きなプラスになると思います。ヨーロッパやアメリカといった国からすれば、日本はなんといってもファーイーストの国です。ですが、デジタル空間においては、物理的な距離の制約がないので、これらの国に対しても、これまでとは異なる方法で近づいていけるチャンスがあります。気になることは、日本人の側に、近づいていこうというマインドがあまりないことでしょうか。グローバルに近づいていけるチャンスを日本人がどのように活かしていくかということが課題になります。
ファーイーストだったがゆえに、日本には、まだまだ知られていない姿やアピールできるポイントがあるはずですし、輸送手段が確立されたことによってヨーロッパに浮世絵が輸出され、ヨーロッパで日本文化が知られるようになったような動きが、デジタルがデフォルトになった世界でもう一度起こるのではないか、起こせるのではないかと考えています。デジタル空間だからこそ世界にアピールできたり、知ってもらえたりするものがあるはずです。
時間と空間にとらわれない「働き方」が当たり前に
須賀:より具体的に、ご自身がこれまで注目されてきた分野の中で、コロナ禍のこのタイミングで、ついに花開くときがきたと感じていらっしゃるものはありますか?
柳川:花開こうとしているのは、「働き方」だと思います。コロナ禍において多くの人が、物理的にその場所に来なくても働くことができると実感したことは、とても大きかったと思います。やはり、対面で仕事をすることのよさもありますから、パンデミックが収束すれば、会社に出社するスタイルも戻ってくる面もあるでしょうが、多くの人がこんなふうにも働けると実感した経験はとても大きなことだと感じています。
時間と空間にとらわれない働き方というのはもはや当たり前のことになったので、講演のネタにもならなくなりましたね。私としては商売上がったりですが、とてもよいことだと感じています(笑)。
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