ネット広告大手が「モノ言う株主」に狙われる訳 親子上場や多額の現預金保有に不満を表明

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リムは、デジタルHDが現預金を多く抱えていること、そして本業と何らシナジーのない会社に次々と投資して益出しを図る「含み益経営」に邁進しており、資本を効率的に使っていないとして、自社株買いも提案している。

リム以外のアクティビストもデジタルHDに揺さぶりをかけている。東芝に株主提案をしたシンガポールの3Dインベストメント・パートナーズ・プライベートと、天馬に株主提案をしたアメリカのダルトン・インベストメンツグループもデジタルHDの株式をそれぞれ10%程度保有し、揺さぶりをかけていたのだ。その他にも、香港のオアシス・マネジメントがデジタルHD側に接触、要求を突き付けているという情報もある。

デジタルHDは、なぜこうもアクティビストファンドに狙われるのか。別のファンド関係者は次のように指摘する。

「不祥事企業」が狙われた

「広告業界は電通が本社ビルを売却する方針を打ち出すなど苦戦している。ネット広告は年間5%程度成長しているが、プレーヤーが乱立しており、今後再編は必至だ。アクティビストファンドは資本効率が悪く、本業と関係のない投資で利益の押し上げを図るなど、つけいる隙があったため、『再編劇の主人公』として狙われた」

今回のラクスル株売却に関しても、「アクティビストファンドからの圧力を受け、『株価を引き上げなければ合従連衡に巻き込まれる』と考えて売却したのではないか」(同関係者)と指摘する。

これに対し、デジタルHDは「決算前ということもあり、回答は差し替える」とコメントする。一方のリムは「コメントできません」と答えた。

デジタルHDは2月10日に決算発表を控える。その際に、ガバナンスや資本政策面でどのような改善策を打ち出すのか。その動向次第では、アクティビストファンドたちがさらに強固な要求を突き付ける可能性もある。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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