宇都宮LRT、新幹線…「新線工事」はなぜ遅れるか

延期は仕方ないが、問題は「その後の対応」だ

また、福岡市地下鉄七隈線(天神南―博多駅間)は、2020年度末の開業を予定していたが、2016年11月8日に発生した博多駅前2丁目交差点付近での道路陥没事故により、トンネル内に流入した水や土砂の撤去や、再発防止のための地盤改良に18カ月の工期延長が必要となり、開業予定を2022年度に延期した。

福岡市地下鉄七隈線延伸工事の陥没現場付近。埋め戻しが終わった後の様子=2016年12月(編集部撮影)

さらに、2000年代に開業した地下鉄である営団地下鉄(現・東京メトロ)南北線や半蔵門線(水天宮前―押上間)、東京メトロ副都心線も、用地取得の遅れや埋蔵文化財の発掘調査が必要になったことから開業予定が延期された経緯がある。

とはいえ、開業延期は仕方ないとも言っていられない。工期と事業費は表裏一体の関係にある。工事が延びれば必要な労働力は増え、さらに物価や人件費も上昇するので事業費の増加は免れない。同時に工期を短縮する努力が必要になるが、そのためには工法や材質を変更したり、より多くの作業員を投入せねばならない。要はお金で解決するしかないので、さらに事業費はかさんでいく。そうすれば路線の採算性にまで影響を及ぼすことになる。

つまり、工程管理におけるリスクマネジメントは経営上の重要課題なのである。

LRT事業費は226億円増加

では、今回の芳賀・宇都宮LRTと北陸新幹線の事例はどこに問題があったのだろうか。芳賀・宇都宮LRTについては、事業費が当初想定していた458億円から684億円へと226億円、割合にして約50%も増加している。

芳賀・宇都宮LRTの鬼怒川橋梁工事を紹介する看板=2019年5月(編集部撮影)

内訳をみると、工事については地質調査の結果、鬼怒川周辺・野高谷地区の高架構造物区間、車両基地などで構造物を支える杭基礎の長さの変更や地盤改良の深層化が必要になったことや、用地測量の結果、買収面積や補償物件数が増加したことなど、現地の施工条件などへの対応で117億円の増加。工事に支障となる電力ケーブルやガス管、上下水道管などの地下埋設物の移設などで46億円の増加。変電設備の設置費用が4億円の増加となっている。

次ページやむをえない面はあったが…
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