トヨタだけに残る「兄弟車・姉妹車」消滅の足音 専売車種がなくなり、所有の考えも変わる中で

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アルファード(左)とヴェルファイアを併存させる意味も薄れてきている(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

「セドリック/グロリア」(日産自動車)、「アコードインスパイア/ビガー」(ホンダ)、「アンフィニMS-6/テルスターTX5」(マツダ)――。

懐かしいマニアックな車種も含めて、それぞれ基本は同じクルマでありながら外観の一部がやや異なり、車名も別で、異なる販売店系列で売られていた「兄弟車・姉妹車」。唯一、兄弟車・姉妹車を残しているトヨタ自動車にも整理の動きが見える。

昨年の新車販売の動向を振り返ると、国内では5ナンバーを中心としたコンパクトカーやSUV、ミニバンなどが上位を占め、改めて5ナンバー車またはそれにほぼ近い大きさのクルマが日本で好まれている様子が見えてくる。

アルファードとヴェルファイアに大差

そのなかで異彩を放つのが、2020年の販売台数9万台超と乗用車新車販売車名別ランキング(自動車販売協会連合会(自販連)調べ、軽自動車除く)で5位となった上級ミニバンのトヨタ「アルファード」だ。一方、基本的に同じ内容でフロントグリルを中心とした外観が若干異なる「ヴェルファイア」は5分の1以下の台数で、37位とアルファードと大きな差がついた。

ヴェルファイアは、当初「アルファードV」としてネッツ店で販売されていたのを、アルファードとフロントグリルの顔つきを変え、車名も変えて2008年に売り出したのがはじまりだ。その外観が好まれ、アルファードを超える販売台数を積み上げてきたが、現行のアルファードが2017年にフロントグリルの意匠を大きく変え、ラジエターグリルをより大きく見せる顔つきとなってから、販売台数が逆転しはじめ、現在の状況となっている。

2020年5月からトヨタは全車種の併売化に踏み切った。これを機にトヨタ系列の国内4チャネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ)の「専売車種」は廃止され、全国に約5000店あるトヨタ系のディーラーはすべての車種を扱えるようになった。

これまで兄弟車・姉妹車と呼ばれ、内容は同じであっても外観がアルファード/ヴェルファイアのように違うことで全体の販売台数を伸ばしてきたトヨタの戦略は見直しが進むのではないかとみている。

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