トヨタだけに残る「兄弟車・姉妹車」消滅の足音 専売車種がなくなり、所有の考えも変わる中で

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実際に2020年秋、トヨタはコンパクトハイトワゴンで兄弟車・姉妹車だった「ルーミー/タンク」のうち、タンクを廃止してルーミーに一本化した。アルファードとヴェルファイアについても次期モデルでは一本化されるかもしれないという観測記事は、主要な自動車系雑誌、ウェブメディアなどで見られる。

トヨタのミニバンでは、「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」がやはり3兄弟として内容は同じで外観の異なる販売を続けている。これも車種整理が進む可能性はある。自販連によれば、2020年の販売台数はヴォクシーが7万台弱の販売であるのに対し、ノアは約4万5000台、エスクァイアは2万6000台強にとどまっている。

ただ、逆の見方をすれば、こちらの場合は3車種合わせると14万1319台に達する。2020年の乗用車新車販売車名別ランキング(軽自動車除く)1位となった「ヤリス」(トヨタ)の15万1766台に迫り、2位となった「ライズ」(トヨタ)の12万6038台を1万5000台超も上回るのだから、「兄弟車・姉妹車の意味がない」と1車種に統一してしまうことが果たしていいのかどうか、いちがいには言えないかもしれない。

標準車に対して顔つきだけ変えていくかも?

そこで、軽自動車が行っているのは、標準車に対して顔つきだけを変えたカスタムと呼ばれる選択肢を設けていることだ。メッキを多用した大きなラジエターグリルを備えるカスタムは、標準車と明らかに違う顔つきとなり、いかつい表情となる。それが、近年の流行りにもなっている。そして、同じ販売店でどちらかを選べる仕組みだ。この発想が、販売店の統一が進む登録車販売においても、今後、採り入れられていくかもしれない。

歴史をたどれば、兄弟車・姉妹車という存在は、販売店系列の違いに対処する手法の1つではあるが、自動車メーカーが合併することにより、それぞれのブランドに合わせた車名で販売を継続するといったことでも活用されてきた。

日本では、日産自動車がプリンス自動車を吸収合併したあと、もともとプリンスにあった「グロリア」というクルマを残し、日産の「セドリック」と同じ内容でありながら、外観と車名を別にして販売してきた。いまではセドリック/グロリアの車名もなくなり、「フーガ」に統一されている。

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