「デフレだから生産性向上は無理」という勘違い

生産性向上率とインフレ率には負の相関がある

「デフレ下では生産性は上げられない」という思い込みは、明らかにデータと矛盾します(撮影:尾形文繁)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
彼は退職後も日本経済の研究を続け、著書『日本企業の勝算』などで継続的に、日本を救う数々の提言を行ってきた。
アトキンソン氏の従来の研究の特徴の1つは、日本経済の問題点を「供給側」から明らかにしてきたことにある。そこで東洋経済オンラインでは、アトキンソン氏による「需要側」を分析も紹介していく。
今回は「日本の生産性向上率が低いのは、デフレだからだ」という主張を検証する。

「一部の事象から全体を説明する」のは間違いのもと

私が「日本経済復活のためには生産性の向上が不可欠だ」と訴え始めてから、6年が過ぎました。

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この主張に対しては当初より、「日本の場合、生産性なんか関係ない」「日本の生産性の世界ランクが低いのは、高齢者が多かったり、多くの企業が海外に工場を移転してしまったからだ」「中小企業の生産性が低いのは、大企業の下請け搾取の結果だ」などなど、実にさまざまな反論や異論が沸き起こりました。

私はこれらの主張を1つひとつ検証して、どこまでの説明能力があるか分析してみました。その結果、ほとんどの主張が一部の事象を一般化し、それを根拠にあたかも全体がそうであるかのように論じているということがわかりました。

日本語には「木を見て森を見ず」という戒めの言葉があるのですが、木だけを見て、森全体をわかったつもりになっているわけです。この論法が多用されるのが、日本の1つの特徴のように感じています。

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