「デフレだから生産性向上は無理」という勘違い 生産性向上率とインフレ率には負の相関がある

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先日の記事(下請けで苦しむ中小企業は「5%未満」の現実)に、次のようなコメントがありました。

「生産性が高まらないのは、日本が30年もデフレで、企業が投資できないからです」

しかし、日本のデータで検証すれば、この理屈には違和感しか湧きません。特に、「1990年代以降の日本の生産性が上がっていないのはデフレが原因だ」というのは明らかに間違いです。

データで検証すると、関係は一目瞭然

1990年以降の日本の生産性向上率は、他国と比べるとたしかに相対的に低いのですが、まったく上がっていないわけではありません。また、1990年以降、日本経済がずっとデフレだったという事実もありません。

しかも、データを見ると、日本の生産性もインフレ率と負の相関関係にあります。ただし決定係数は0.0732と極めて低く、インフレ率だけによって生産性向上率を説明することはできません。このことからも、「インフレではなかったから、生産性が上がらなかった」という理屈は明らかに成り立ちません。

さらにIMFの分析によると、1995年から2015年の間、日本の生産性上昇率が低かった原因は「全要素生産性」の低迷によるものでした。全要素生産性とは、企業の成長、イノベーション、最先端技術の普及を含む、経営による工夫です。雇用を増やすことや、設備投資をするといった生産性向上要因より、インフレやデフレの影響が少ないと言われている要素です。

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