「ゲームストップ騒動」示す侮れない社会の変化 エリートへの反乱が起こりやすくなっている

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ゲームストップ株をめぐる武勇伝をどう見るかは、人によって異なる。ある人は、怖い物知らずのオタク集団が面白半分に株式市場を引っかき回し、今後はおそらく当局から派手に締め上げられることになる、という教訓をそこに読み取るだろう。

あるいは、勇敢な個人投資家たちが腐敗した金融エリートを巧妙に出し抜いたという意味で、少年が巨人を打ち負かす「ダビデとゴリアテ」の道徳的な寓話と重ねる人もいるだろう。

真相はこの2つの間のどこかにある。今回の騒動には「オタクの復讐」という要素が確かに存在するとはいえ、ゲームストップ株で儲けたのは安い給料で働く下働きの料理人や高校生だけではない。そこにはリッチな投資家も多数、混ざり込んでいる。

権威のパンツを引きずり下ろす民衆蜂起

だが、どのような見方をするにせよ、レディット上でバカ騒ぎするネット住民がウォール街のプロに挑戦状をたたきつけるという今回の一件でとりわけ目を引くのは、このような事件が起こるまでに、これほどの時間がかかったという事実だ。

これと同種の民衆蜂起、すなわちインターネットを拠点とした暴徒が高笑いしながらエスタブリッシュメント(既得権益エリート層)のパンツを引きずり下ろす、といった類いの反乱は、さまざまな権力機構を標的にここ何年と繰り返されてきた。

アメリカ政治の光景も、このようなネット活動家によって変容させられた。

2020年の大統領選挙ではトランプ氏の選挙集会が10代の「TikTok(ティックトック)」ユーザーに妨害されたし、先日、連邦議会議事堂を襲撃した暴徒も「Twich(ツイッチ)」で生配信を行いながら議事堂を占拠した。

インターネットを拠点に反乱を起こす人々の狙いは、株価を動かす、大統領選挙の結果を覆す、映画『ソニック・ザ・ムービー』のキャラクターデザインを変更させる、といったようにさまざまだ。しかし、目的が何であれ、こうした反乱は似たようなパターンをたどることが多い。

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