「テレワークに消極的な企業」に欠けている視点 採用の面でもマイナス、攻めの姿勢が必要だ

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社員7000人を抱える、とあるメーカーの人事担当者は、「経営陣の年齢層が高く、Zoomなどのオンラインツールが使いこなせない。そのためか、テレワーク導入を真剣に考えていない。また、電話対応ひとつとっても社内の固定電話にかかってくるため、出社せざるをえない」と、諦めムードで話す。

従業員からは「なぜ、自社はテレワークをしないのか」といった不満が募っている。しかし、経営者や管理職の立場から考えると、「やりたくてもできない」事情もある。

1度目の緊急事態宣言時にテレワークを導入したものの、今回は再び出社のままにしている企業の話を聞くと、業績悪化だけではない理由も浮かび上がる。

ハードル高い、テレワークの継続

1つは、「想定以上に労務管理、設備投資にコストがかかる」という点。テレワーク導入にあたっては、就業規則の改定や運用の見直しだけでなく、社員が在宅で業務を行うためのパソコン等の購入やセキュリティーの強化などが必要となる。

「社員が仕事をしているかどうか把握できないということを理由に出社を求めた」という会社もある。出社していれば様子を見ることで進捗やどんな仕事をしているかがわかるが、それがわからなくなってしまう。実際、ちゃんと仕事しているかどうかもわからず、生産性を下げる結果になる。

生産性という意味であれば、オフィスだから効率的にできる場合もある。自宅にはない最新鋭のOA機器もあるだろう。そうした機器も、オフィスに置いたままだと宝の持ち腐れになる。

逆に「社員のために出社に戻した」という企業もある。それは、テレワークによってメンタル面で不調をきたす社員が出てきたというのが理由だ。

1度目の緊急事態宣言時は、新型コロナは「未知」のウイルスであり、従業員の安全を第一に、テレワークを導入した企業も多かった。しかし、テレワークのマイナス面が浮き彫りになった場合、再びテレワークへと舵を切りづらいのが企業の本音だろう。

また、感染者を出したことに対する社会的な批判がかつてほど強くなくなっているという「ハードルの低さ」もある。当時は全オフィスの長期の封鎖などが求められる雰囲気があったが、今は該当部署の消毒や濃厚接触者の出勤停止など、保健所が求める対応を行えば事業を継続できる状況になっている。

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