「笑いを取れない人」が知らないジョークの法則 進化生物学者が解き明かすユーモアの科学

拡大
縮小
ウケるジョークとスベるジョークがあるのはなぜなのでしょう? (写真:Koldunov/PIXTA)
プロのコメディアンがいることからもわかるように、なぜか人類は笑いを求める。ユーモアは人間関係を円滑にし、ジョークが面白い人は異性にモテるようだ。では、そもそもなぜ人類は笑うのだろうか? ジョークには全人類共通の法則や仕組みがあるのだろうか? そして、文化によってユーモアのセンスは異なるのだろうか?
今回、エディンバラ大学の教授が、進化論の視点からジョークとユーモアの謎に迫った、『なぜあの人のジョークは面白いのか?:進化論で読み解くユーモアの科学』から、一部を抜粋・編集してお届けする。

間違いがおかしさをもたらす?

間違いにはおかしさが潜んでいる。シェイクスピアもそう言っているが、間違いとおかしさの関係は何千年も昔から知られていた。

『なぜあの人のジョークは面白いのか?:進化論で読み解くユーモアの科学』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら。電子版はこちら

シェイクスピアは、ローマ時代の劇作家プラウトゥスが書いた『メナエクムス兄弟』の筋書きに、登場人物が人違いをするという要素を付け足しておかしさを倍増させ、『間違いの喜劇』を書き上げた。

だが21世紀の科学によって、プラウトゥスもシェイクスピアも気づかなかった、間違いのおかしさにまつわるまったく新たな事実が見つかっている。間違いは喜劇のネタに使われるだけでなく、私たちが感じるおかしさのおおもとにもなっている。

人間の脳の中には、間違いを見つける専門の領域がある。間違いを分析して予想と比べ、面白いと判断された間違いが頭の中を駆けめぐって笑いを引き起こすのだ。

この発見によって科学と芸術が思いがけない出合いを果たし、パブで出会った見知らぬ人どうしのように、ジョークをめぐってがっちりと手を組んだ。

その思いがけずも実り多い出合いから出てくるさまざまな疑問を取り上げて、飛び交うさまざまなジョークを味わい、笑い話の意味を掘り下げていこう。

面白い間違いとそうでない間違いがあるのはなぜだろうか? なぜ笑いはひとりでに起こり、まわりの人に伝染するのだろうか?

次ページ笑いは何の役に立っているのか?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT