王者「ハスラー」と新鋭「タフト」を徹底比較 軽自動車SUVライバル2台の相違点と優位性

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運転支援システムは、後発のタフトのほうが優れている(写真:ダイハツ)

運転支援システムでは、タフトのほうがより充実しているといえるだろう。両車ともに、設定速度の範囲内で先行車に追従走行しながら、自動で車間距離をキープする全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)を装備する。タフトは、電動式パーキングブレーキを採用するため、渋滞などで先行車が停止しても追従を保ち、停車時間が長いときはパーキングブレーキが自動的に作動する。

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一方のハスラーは、オーソドックスな足踏み式パーキングブレーキを採用するため、先行車の停止までは追従しても、約2秒を経過すると再発進する。従って停止が長引く場合は、フットブレーキを踏む必要がある。安全装備でもタフトのほうが上だ。例えば、衝突被害軽減ブレーキは両車ともに装備しており、昼夜ともに車両だけでなく歩行者も検知する点も同様。ただし、タフトに装備しているスマートアシストでは、自転車も検知対象となっているため、より幅広い状況で安全運転をアシストしてくれる。

さらに、タフトには、夜間の視認性に優れるLEDヘッドランプを全車に装備する。一方のハスラーは、最上級グレードのHYBRID XとHYBRID Xターボのみの設定だ。加えて、タフトのGとGターボには、アダプティブドライビングビームも装着されている。この機構は、ハイビームで走行中に先行車や対向車を検知すると、部分的に遮光することで、夜間の視認性を確保しながら、他車への眩惑を抑えるというものだ。ハスラーにも、ターボ車にはハイビームで走行中に対向車などを検知するとロービームに自動で切り替えるハイビームアシストを採用するが、ドライバーの負担軽減や夜間の視認性ではタフトが採用する機能のほうが優れている。

熟成を重ねたハスラーと、先進装備で追い上げるタフト

ハスラーは、初代モデルの機能やデザインなどを継承しつつも、より熟成させた高い実用性や基本性能の高さが魅力だ。とくにシートアレンジの豊富さやマイルドハイブリッド機構による高い燃費性能などには、一日の長がある。対するタフトは、最新の運転支援システムや安全装備などによる安心感、そして、なによりスカイフィールトップに代表される快適装備の充実が魅力だ。

軽自動車のSUVという点でライバルとされる2台だが、ここで挙げたとおり、見た目以上に特徴や優れる点は異なる。だが、それらは両車にそれぞれ違う魅力があり、それぞれにユーザーをひきつける力があるということだ。冒頭で紹介した両車の好調な新車販売台数が、それを証明している。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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