ウブすぎる!中年「転職初心者」が陥りがちな罠 キャリアは「アップすべき」という超思い込み
理恵子:近い業種ですね。練習のつもりで、取りあえず面接だけでも受けてみようと思ったんです。先方からはこれまでのキャリアを評価してもらえたと思うんですけど、いきなり「責任者をやって」と言われて。実は、それも荷が重いんですよね。
この年で再就職ってすごい賭けだな、と今つくづく思っていて。間にエージェントが入ると就職前に聞ける情報が少ないんですよ。新しい仕事について詳しい説明もそれほど受けられるわけじゃないので、決め手に欠けるんですよね。
紫乃ママ:やっぱりさ、まず理恵子さんが次のステージで何をいちばん重視するかをはっきりさせることじゃない? これから働くうえで大事にしたいことの優先順位を付けてみたらどう? 何があれば自分は満足できるのか、どんな条件は譲れないのか、何は妥協できるのか。年も重ねてきた今の自分が、いちばんパフォーマンスを出せるのはどういう状況なのかは、自分にしかわからないことでしょ。
例えば、今までの話を聞くと、これからの理恵子さんが大事にしたいのは、「収入」よりも「働き方」なんじゃない? 今までみたいにバリバリじゃなくてちょっとペースは落としたい。でも充実した仕事をしたいと。そうであれば、それは正直に相手に伝えたほうがいいと思う。
「ウブ」な中年転職初心者
理恵子:条件か……私の場合、確かにお金はそれほど重要ではないですね。大事なのは2つあって、1つは自分の才能が花開く場所にいたいということ。もう1つはいい仲間と働きたいということ。でも、転職活動をしているとどうしても企業側に合わせていかなくちゃならないじゃないですか。
紫乃ママ:そんなことないと思う。この世代まで転職したことがなかった人の初転職活動の話を最近よく聞くんだけどさ、きちんとスキルを積んできている人でも、転職に関してはウブで、「どうしたら採用してもらえるか」って、企業側に合わせようとする発想になる。
でも、経験もスキルも積んだ大人なんだからさ、「雇ってもらう」という発想だけじゃなく、その会社で自分が働くことが会社にどんな恩恵をもたらすのか、自分の力を100%発揮するために、どう働いていきたいか、をきちんと伝えていくことも大事よ。新卒採用は真っ白な状態での採用だから、「私、御社の色に染まります!」となりがちだけど、キャリアを積んだ私たち世代は採用する企業側と対等。お互いのためにも、どんどん聞いちゃいなさいよ。
理恵子:初めてだからどれくらい条件を言っていいのかもわからないんですよ。自分の市場価値がどのくらいなのかよくわからなくて。一緒に職を探している元同僚たちに聞いても、自分を過小評価する人が多いんです。年収が700万円だったのに「300万円もらえればいい」とか。
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