1000円超の「サラダ専門店」に男性も通う理由 コロナ禍でも増収のクリスプ・サラダワークス
サラダといえば普通は副菜としての位置づけだが、同店のサラダはそんな軽いものではない。野菜はもちろん、ハム、チキンなどのたんぱく質、クルトン、穀物などの炭水化物も多少入り、重量としては400〜450グラムある。
カロリーも400〜700kcal台と、サラダとしては高熱量だ。立派に1食として成立し、しかも満腹になる。
いちばん人気は「カル・メックス」。甘酸っぱいドレッシングが特徴のメキシコ風サラダで、アボカドが2分の1個入っているところが、女性客の多い同店で好評の理由のようだ。
次に売れるのが「クラシック・チキンシーザー」。シーザーサラダはアメリカ発祥で、ロメインレタスにシーザードレッシングとチーズ、クルトンで構成されるのが基本。ちなみにシーザーサラダはジュリアス・シーザーではなく、考案者であるレストランオーナーの名に由来する。
同店のシーザードレッシングには自家製のマヨネーズがベースに使われており、クリーミー。これが野菜などの具材をまとめ、バランスのよい味わいを作り出している。
男性客による注文が多いのが、「マーベリック」「ファームボウル」など、ワイルドライスや雑穀米が入っていてボリュームがあるもの。
そのほか、ロースト豆腐が特徴の「ENC」、パクチーで独特な風味を出した「スパイシー・バイマイ」、リンゴやレーズンが入った「ヒップスター」、チーズ、ゆで卵が特徴の「ダウンタウンコブ」で8種類だ。
価格は平均約1280円と、サラダにしてはハイクラスの値段設定。女性がほとんどなのではという印象を抱いていたが、実際は女性が65%、男性が35%と、男性のファンも少なからずいる。
「広範囲でなくても熱狂的なファンを作ればいい」
なぜ、サラダだけというユニークなお店を思いついたのか。そして、そんな珍しい業態で19店舗を経営するまでに成功している理由について、同店を運営する株式会社CRISP社長の宮野浩史氏に話を聞いた。
発想のヒントとなったのが、10代の頃に過ごしたアメリカでの体験だ。ホームステイ先の方に出資してもらい、天津甘栗の屋台販売を行った。日本での印象からあまり売れるとは思っていなかったが、案に相違し、現地に住む日本人に「懐かしい」と非常に好評だったのだ。日本円にして40万円以上を売り上げる日もあったという。
「故郷を離れた人がソウルフードを食べたいと思う。そういうニーズもあるんだと気づきました。また、広範囲な人にアピールしなくても、熱狂的なファンを作ればいいんだと考えるようになりました」(宮野氏)
帰国後飲食業の経験を積んだ後、日本で同店を立ち上げる際には、「サラダだけなんて成功するわけがない」などと心配する声もあったという。しかし、オープンしてみると、売り上げは想定の5倍。
狙いが当たって在住アメリカ人を始め外国人客に受けたこともあったが、意外にも、地元住民のリピーターも多かったそうだ。マスコミにも注目され、毎日150メートルの行列ができるほどに繁盛した。
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