1000円超の「サラダ専門店」に男性も通う理由 コロナ禍でも増収のクリスプ・サラダワークス
しかし売れるにつれて、宮野氏はジレンマに悩むようになる。
「お客様を待たせたり、お客様1人ひとりに丁寧な対応ができなくなっていった。以前から来てくれるお客様が後回しになったり、来店しづらくなってしまうということもあって、とても残念に思いました」(宮野氏)
目指していたのは熱狂的なファンを作ること。店舗スタッフの「パートナー」という名称にも、友達のように親身な接客の意味が込められている。それなのに、その当時の現状では、自分が思い描いていた理想図からずれてきてしまっていた。
以前から宮野氏が不思議に感じていた日本の飲食業のあり方も思い出された。
人気が出るとクオリティーが下がる飲食業に疑問
「お店の人気が出るとクオリティーが下がるという印象があります。実際そうなのかはわからないが、当然ありうることです。日本の飲食業では『規模が大きくなればより安くなる』という方向に進むことが多いからでしょう。本当だったら、会社が大きくなればクオリティーはより上がらなければならない。例えばITの世界では、規模が広がれば同じ値段でもっとサービスがよくなりますよね」(宮野氏)
自分の店でどのようにしたら、もっとクオリティーを上げられるのか。考えた結果、宮野氏が出した答えがテクノロジーを最大限に活用した接客だった。一見矛盾するように思えるかもしれないが、ITの世界にあてはめてみるとうなずける。
例えばネット通販を利用していると、勝手に広告が画面に現れたり、推奨商品が表示されたりすることがある。AIで検索・購入履歴を分析し、購買につながる可能性が高い情報を自動で提供しているのだ。宮野氏は、このシステムを接客に応用。
1つには、2017年、専用の事前注文アプリ「CRISP APP」を導入し、事前に注文、店頭でスムーズに提供できるようにした。またこの時点で、キャッシュレス化も図っている。次に「CRISP KIOSK」と呼ばれる店頭機器による受注システムを整備した。つまり、来店したすべての客データを蓄積できるということである。
「例えばこの人が何回来ているのか、どんな注文が多いのかといったことからお客様の傾向がわかる。それに合わせた接客であり、プロモーションができるわけです」(宮野氏)
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