日本企業にも好機! インドの地殻が動いた 第1回 「3度目の独立」を果たし、前進するインド

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インドは28州7直轄地域で成り立っている。面積は日本の8.7倍、世界で7番目に大きな国だ(インド政府のホームページより)

(5)インドを魅力的にする多くの計画

モディ首相は選挙で、経済を再生するために電力、道路、鉄道への投資を加速すると公約しました。インドの財界はこの公約に期待をかけており、国民の多くも彼が斬新なアイデアでインドを発展させ、モディ旋風がインドに新たな夜明けをもたらす歴史的な偉業を達成すると考えています。

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以上のように、インドでは多くの変化が起きつつあります。なぜ短期間でインドが変わりつつあるのでしょうか。

モディ首相の支持者は、「彼の情熱が人々を動かしている」と言います。彼が考えるインドの発展の絵図が明確で、その核心は「5T(Talent=人材、Tradition=伝統、Tourism=ツーリズム、Trade=貿易、Technology=技術)に焦点を当てることでインドのブランドを構築する」というビジョンです。

送水網、光ファイバー網、新幹線といったインフラ計画はインドが最も必要とする近代化計画です。それ以外にも、インド国内100カ所にスマートシティを作る、インド工科大学(IITs)、インド経営大学院(IIMs)、全インド医科大学(AIIMS)をインド28州すべてに作り、すべての国民がよい教育を受けられるようにする、という計画もあります。

ただし前政権から厳しい財政状態が続いており、モディ首相は財政再建と経済成長の両方を同時に進めていく必要があります。すべての国民が満足できるような政策はありません。経済の再生やインフラ整備にあたって、一部の国民が強く反発するような厳しい決断もしていくと思われます。病んだ経済を健康的にするには苦い薬も必要、ということです。 これをうまく乗り切っていけるかどうか。日本を含む世界中の多くの政府と同様、これはモディ政権の大きなハードルといえます。

この連載は、「モディ政権のインパクト」、そして「インドの魅力」についてニルマラさんが解説します。次回は7月10日掲載予定です。お楽しみに!
帝羽 ニルマラ 純子 インドビジネスアドバイザー

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ていわ にるまら じゅんこ

インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了。来日以来14年間で、日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとグローバル人材トレーナーとして活躍。著書には、2013年にインドの諺について日本語で解説した『勇気をくれる、インドのことわざ』がある。インドの諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。2014年には『日本人が理解できない混沌(カオス)の国 インド1―玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!』 『日本人が理解できない混沌の国インド2―政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる』発行。

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