「レクサスIS」登場7年の今、驚くほど激変した訳 価格据え置きながら走りも姿形もまるで別物だ

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そこには長年ハイブリッド車を手がけてきたからこその知見が反映されている。不必要なマージンは削り、バッテリーを余さず使い切る。燃費を犠牲とせずにレスポンスを高める。こういった蓄積は一朝一夕にできるものではない。

デザインにも触れないわけにいかない。狙ったのはコンセプトどおり、FRコンパクトスポーツセダンとしての直球のカッコよさ。タイヤサイズの拡大により全幅はわずかに広がり、それとのバランスで全長も若干伸ばされているが、造形のためだけの余計な拡大は避けられ、その中でワイド&ローのフォルムが形作られている。

大胆に変化しているのに価格は据え置き

しかも各部の造形は非常に切れ味がよい。とりわけ世界初という寄絞り構造によって成形された複雑な形状のトランクリッド、レクサス初の突き上げ工法でシャープなキャラクターラインを得たリアフェンダーなどは印象的で、陽光の下で眺める姿はとても切れ味鋭く、美しい。

IS350“F SPORT”(ホワイトノーヴァガラスフレーク)<オプション装着車>(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

結果として新型ISは、ハードウェアは確かにマイナーチェンジなのだが、走らせれば日常域からFRらしい意のまま感が色濃く、いわゆる操る楽しさを濃密に感じさせてくれる。そしてその姿は、理屈抜きのシャープな存在感を発揮している。

さらに驚くのは……いや、確かにそう宣言されてはいたのだが、これだけ大胆に変化しているにも関わらず、価格が据え置きとされていることだ。端数が均された結果、グレードによっては安くなっているものすらある。

「価格は上がっていないのに性能はめちゃめちゃ上がって、『やっぱりFRの走りは違うな』とか『カッコいいなFRセダンって』と思ってもらえるものを送り出したいじゃないですか。デザイン、設計、生産技術、製造までワンチームで開発を進めた結果として、こういう形ができたんです」と、小林チーフエンジニアは振り返る。

確かにプラットフォームの継続使用はコストダウンのためでもあったのだろう。しかし、それがこうしてユーザーに還元されるならば、文句を言う余地など無いはずだ。

実際、世間の反応は大きく、受注開始後の初期オーダー数は予想以上だという。目新しさよりも本質的な意味でのいい車を信じて送り出す作り手が居て、それを理解し受け止めるユーザーがいる。今回のISのモデルチェンジを見ると、レクサスがしっかり“ブランド”になったなと強く感じさせるのである。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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