「レクサスIS」登場7年の今、驚くほど激変した訳 価格据え置きながら走りも姿形もまるで別物だ

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実はそんな噂は耳に入っていたのだが、正直なところ筆者は実現について難しいのではと考えていた。何しろISの基本骨格は2011年デビューのGSと共通であり、つまりルーツは2003年に登場したゼロ クラウンなのだから。しかしIS開発チームは、シャシーの大幅なアップグレードによって、見事それを可能にしてみせた。

まず着手したのはタイヤサイズの変更。これによってグリップ力のキャパシティを拡大した。そしてバネ下、つまりタイヤとともに動くサスペンション部品の軽量化だ。重い靴を履いたら走りが鈍くなるのは人間も同じ。タイヤサイズが大きくなった分を、ここで相殺したのである。

ヨーロッパ車と同じ構造を採用

新型ISは、その一環としてレクサス車では初めてタイヤの車体への締結にハブボルトを用いている。車体側からスタッドボルトが突き出していて、そこにホイールをはめ込む従来の方法とは異なり、車体側には孔が開いていて、そこにホイールをボルトで締め込むハブボルト式は、実はヨーロッパ車では当たり前。簡単なようで実は生産ラインの刷新も必要な、シャシー技術者にとっては悲願の変化が、ここで実現したのである。

ハブボルトの締結構造(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

「ここまでやれば今の時代にレクサスが出すコンパクトスポーツセダンとして、思ったところに行けるんじゃないか。そう確信できて、初めて開発が本格的に動き始めたんです」と、小林チーフエンジニアは振り返る。実際、開発着手はデッドラインの本当にギリギリのところだったそうだ。

もちろん、方向性は定まっても開発は簡単には進まない。タイヤのグリップ力が高まれば、サスペンションの強度も必要になる。しかも同時に軽量化も求められているのだ。当然、受け側のボディだって剛性を高めたい。けれど重くはしたくないし、車両価格だって上げたくないとなれば、そこにかかるコストをどこかで削らなければならない。

「それがチーフエンジニアの仕事ですよ。皆が動きやすいように調整する役ですよね」と、小林チーフエンジニアは言う。実際、車両重量は先代に対して、たった10kg増に抑えられている。

3種類が用意されたパワーユニットも、ハードウェアは不変ながら間違いなく走りの進化に貢献している。とくにハイブリッドの「IS300h」は、従来感じられたクルマとの一体感の無さが解消されて、アクセルを踏めばクルマがスッと前に出るようになった。当たり前のことが、当たり前にできるようになったのだ。

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