生理前の不調で「無理心中」を考えた女性の苦悩

コロナ禍のテレワーク、号泣しながら仕事した

児童相談所の職員は、夫婦それぞれの年収、借金の有無、仕事、夫婦仲、実家の親の様子、親戚についてなど、ありとあらゆることを聞いて帰っていった。

「ネットで児童相談所について調べたら、『子どもを連れ去られて返してくれない』といった記事を目にしたので、『大切な子どもと一緒に暮らせなくなったらどうしよう……』と思い、本当に怖かったです。この経験がトラウマになり、『人は本当に助けてほしいときに助けてくれない』と思い知ったため、誰かに相談することや人と深く関わることをやめました」

児童相談所の職員は、それからも何度か訪問したが、最後は3人でやってきて、家の中や子どもの様子を重点的に見た後、「もうこれを最後にします」とだけ言って帰っていった。

楽しい思い出作りを心がけた

児童相談所の訪問がなくなると、空山さんはふと、「死のう」と思った。
それから空山さんは、「私が死んで、子どもが養護施設に行くことになった場合はどうなるのか?」「離婚をしてから死んだらどうなるのか?」など、家族になるべく迷惑がかからないようにシミュレーションし、エンディングノートも記載した。

思い残すことがないように、ずっと行きたかった場所への家族旅行を夫に提案。死のうと思っていることは誰にも言わず、自分が死んだ後に思い出すのは、自分の笑顔であることを願い、楽しい思い出作りを心がけた。

しかし、いろいろと検討した結果、「母親が自死を選んだことによる十字架を、子どもたちに背負わせるわけにはいかない」と思い至り、子どもたちとの無理心中を考え始める。

夫とは長い付き合いだが、「生きてるのがしんどくなるときってあるよね~」などと死をほのめかすと、「そんなこと言ってどうなるの?」と怒られることがほとんど。返ってくる言葉に傷つくだけなので、相談するのをやめてしまった。

「私は子育て、家事、仕事でずっと心が張り裂けそうでした。夫は、私がそこまで思い詰めているとは思っていなかったのだと思います。夫は仕事で大変だとわかっていたし、どうせ話してもわかってもらえないと感じていました。結局私は、夫を信用していなかったのだと思います」

ところが、死ぬための準備をし始めてから約1年後、空山さんは子どもたちを寝かしつけていると、突然気づいた。「こんなにかわいくて愛おしいわが子たちとの心中を考えるほど、自分は毎日頑張ってきたんだ」ということに。

途端、「もっとこの子たちの寝顔を、笑顔を見続けていたい。死んだらダメだ」という思いが込み上げ、大号泣した。

「多分、産後うつだったのだと思います。今はもう、死ぬ準備はしていませんが、やっぱり生理前になると、ひどいときはベランダから下を覗き込んだり、駅のホームから線路を見つめたりしています」

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