生理前の不調で「無理心中」を考えた女性の苦悩

コロナ禍のテレワーク、号泣しながら仕事した

空山さんは、高校生の頃から月経痛に悩まされてきた。市販の鎮痛剤でやり過ごしてきたが、だんだん服用回数が増えてきたことから、25歳の頃に婦人科にかかると、婦人科医はピルを処方。服用し始めたところ、ものすごい吐き気に襲われた。吐くものがないのに止まらない吐き気に、「死ぬほど苦しかった」と空山さんは振り返る。

それでも空山さんは、「生理痛を何とかしたい」という一心で耐え、3カ月を過ぎた頃やっと楽になった。

その後空山さんは、同い年の夫と20代で結婚。1年後に長男を出産。

初めての子育てに奮闘していると、だんだん月経前に体調が悪くなるようになってきた。出産後、しばらく行かなくなっていた婦人科に相談すると、やはりピルを勧められる。子どもを望んでいた空山さんは、結婚前にピルをやめていた。「もう二度とあんなつらい思いはしたくない」と思っていた空山さんはピルを断り、漢方を試したが、なかなか効いているという実感が持てなかった。

そして3年後に長女を出産した後、急激に体調が悪化。月経前になると落ち込みがひどく、楽しみが見いだせなくなり、集中力が減退。いつも疲れていて、睡眠過多になったり、不眠になったりする。偏食・過食したり、イライラや不安、緊張感や限界感、自己喪失感から希死念慮も出てくる。頭痛や肩こり、便秘や下痢、めまいや腰痛などもあり、「若年性更年期障害ではないか?」と思った空山さんは、婦人科医に相談した。

しかし医師からは、「月経が毎月来ているなら更年期ではない」と言われ、やはりピルを勧められる。空山さんは心療内科にかかり、漢方に加え、ひどいときのみ安定剤を服用するようになった。

空山さんは、その後も別の婦人科や心療内科を回り、さまざまな薬を試したが、そうしている間にも症状は悪化の一途を辿る。

もう通える範囲の婦人科や心療内科医はすべて行き尽くした38歳の頃、必死で解決策を探しているうちにインターネットで「PMDD」という言葉を知る。その約1年後、空山さんは新しい心療内科で「PMDD」と診断され、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や漢方薬での治療を開始した。

「児童相談所」の職員が訪問

長女出産後、空山さんは婦人科や心療内科だけでなく、乳児検診の際の保健師、保健所や区役所など、さまざまな機関に自分の体調や子育ての悩みを相談し、助けを求めた。3歳になる上の子はイヤイヤ期真っ盛り。産休・育休は半年ほど取得したが、夫の帰りはいつも22時過ぎで、妊娠中からずっと家事・育児に忙しく、自分のケアまで手が回らなかった。そのため、つねに「誰か助けて」という“願い”が自分の中にあり、とくに月経前はそれが抑えきれなくなっていたのだ。

そんなある日、児童相談所を名乗る2人組が自宅を訪れる。

「どこに相談しても、話は聞いてくれますが、結局次の相談先を紹介されるだけ。約1年たらい回しにされた揚げ句、『この母親、正常じゃない』と判断されたのでしょう。いろいろなところに相談したことが逆に悪く働いたようです。最初の訪問時は、警察の取り調べのようでした。虐待につながりそうな原因を探していたのだと思いますが、『母親失格』というレッテルを貼られた気分でした」

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