生理前の不調で「無理心中」を考えた女性の苦悩 コロナ禍のテレワーク、号泣しながら仕事した

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現在空山さんは、仕事をしながら2人の育児と家事に追われる生活をしている。

しかし数年前のように、人や物に当たることはなくなり、最近はもっぱら抑うつ的に落ち込み、希死念慮が強くなっているという。

「以前は生理前になると沸点が低くなり、余計なことを言ってトラブルを起こしていましたが、最近は生理前になると脳の性能が格段に落ちるので、仕事でミスをしたり、子どもの学校の予定を忘れたり、ダブルブッキングしたりしてしまって落ち込み、『そうだ! こんな私は死ねばいいんだ!』と思うようになりました」

そんな空山さんにとって、コロナ禍のテレワークは好都合だった。どんなに身体的・精神的に不調なときでも、号泣しながらでも仕事ができたからだ。

とはいえ、起き上がれないほど不調なときは休み、食事の支度は出前でやり過ごしている。

「以前は精神的に追い詰められても死にたいとは思いませんでしたが、今は“消えたい”がずっとそばにいる感じです。でもその代わり、『自分を救えるのは自分だけ。自分を整えられるのは自分だけ』と、自分を大事にするようになりました」

ホルモンに「ジャック」される

空山さんが調子がよいときは月に10日ほど。月経前になるとスケジュール管理ができなくなるので、マグネットに予定を書いてホワイトボードに貼り、終わったら裏返す“見える化”を実施。予定は夫と共有し、うっかり忘れを防ぐ。物の管理もできなくなるので断捨離中だ。

「仕事で打ち合わせをしていても、理解が追いつかなくなるので、『こんな自分は消えてしまいたい』となり、『今、電車に飛び込んだら気持ちよさそう』と思う自分がすごく怖いです。でも、こう思うのは自分ではなくて、ホルモンに“ジャック”されていると思うと、何とかやっていけます」

空山さんは、がむしゃらによくなろうと努力している。婦人科、心療内科に通い続けるとともに、カフェイン、アルコールを断って3カ月。食欲がないときでも欠食をやめ、毎朝の瞑想も欠かさない。最近は発酵食品がよいと知り、ぬか漬けを作り始めた。

「40代に入って、吹き出物や頭痛がひどくなりました。体調が悪いときはテレビも見られません。人と関わるとすごく消耗します。更年期に向かっている私たちの身体って、ものすごい頑張っていると思うんです。生理の仕組みに登場するのは、主にプロゲステロンとエストロゲンですが、そのほかにもホルモンは出ています。想像ですが、私はそのメインでないホルモンの影響も受けてしまうのかなと……。

でも、なるべく薬には頼りたくないんです。頼ったほうが楽になれるのかもしれませんが、自分にできる範囲で、自分にとことん付き合っていく感じであがいています。いろいろな治療法を知ったうえで、選択できるようになったらいいなと思います」

PMSはかなり知られるようになったが、PMDDはまだ女性にさえあまり知られていない。

発症する原因はさまざまな説があり、まだ解明されていないが、PMSもPMDDも婦人科や心療内科で治療することが可能だ。

月経の3〜10日ほど前から精神的・身体的症状に悩まされているなら、一度医師に相談してみてほしい。

空山さんのように、自分を見つめ、行動することが、解決への第一歩だ。

旦木 瑞穂 ライター・グラフィックデザイナー

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たんぎ みずほ / Mizuho Tangi

愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する記事の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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