コロナ禍が終われば株価が上がるとは限らない

必ず「バブルの清算」が始まるときがやって来る

一方、供給面は、「OPECプラス」(石油輸出国機構と非OPECの主要産油国で構成)の生産体制に注目だ。昨年5月以降、過去に例をみないほどの減産を行っていることもあり、足元ではジワリ需給が引き締まっている。もし、ワクチン効果が明らかとなってさらに値を切り上げる展開となったとしても、生産量抑制を続けることができるなら、相場の強気転換を確固たるものにできる。

この思惑から、引き続き増産見送りが合意される可能性は高そうだ。また、需要はワクチン次第ですぐにでも回復するのに対し、一度生産を停止してしまった油田の再開には、ある程度の時間を要することも忘れるべきではない。

ワクチンが実用化され、需要が本格的に増加してきた際、生産の回復がそれに追いつかず、至るところでボトルネック(供給の一時的な不足)が生じる恐れは高い。こうした需給に対する不安を相場が織り込む展開になれば、1バレル=60~70ドルあたりまで一気に値が吹き上がっても、何ら不思議ではない。

「バブルの崩壊」がいずれ始まる

株式市場では、コロナ禍を「満喫」してきたネット関連の「巣ごもり銘柄」をはじめとする「グロース株」から、景気回復局面で買われやすい「バリュー株」への資金シフトが一部起きている。

今はまだ厳しくても、今後コロナによって痛めつけられてきた航空・外食産業などの業績は急速に回復してくることが期待される。だが、それよりも注意すべきは、長期金利の動向だ。すでに年明けから、バイデン新政権が大型経済対策を打ち出したことで国債増発→財政悪化の懸念が台頭。アメリカの長期金利の指標である10年物国債の利回りは、一時1.2%突破直前まで上昇している。

コロナ禍で、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融緩和策を打ち出し、市場に資金を供給、経済を下支えしてきた。その一方で、アメリカ政府の景気支援策もすでに4兆ドル規模という空前の規模に達した。コロナ禍でGDPが記録的な落ち込みになっても、S&P500やニューヨークダウ、ナスダック総合指数などアメリカの主要株式指数が史上最高値を更新し続けているのは、こうした金融・財政両面からの支援効果が大きい。

今後、こうした状況はワクチン効果によってどうなるか。今でこそイメージはわかないかもしれないが、景気がかなり速いペースで回復してくれば、それに伴いインフレ圧力も急速に高まる。上述の原油価格急騰も、もちろん物価の押し上げ要因だ。

その際、FRBは当然ながら金融の引き締めに着手せざるを得なくなる。だが、急激な金融引き締めは市場への打撃も大きくなるだけに、量的緩和策縮小や利上げが後手に回る恐れもある。

この場合はインフレが加速、長期金利の上昇によって株式が大きな売り圧力がかかるのは避けられない。また商品市場でも、需要回復が見込める原油などは、影響も限定的なものにとどまるかもしれないが、実需の支えが乏しい金や銀は、もろに売りを浴びせられる懸念がある。

一方、インフレがかなりのペースで進むなら、長期金利が上昇してもドルの価値は相対的に低下する。従って為替市場でもドル安円高が進む可能性が高い。景気が急速に回復しても、アメリカではそれまでの金融緩和や財政支出によって実力以上に押し上げられた分を、きっちりと「清算する必要がある」=バブル崩壊に近い状態になる、というわだ。

それゆえ、今後はいずれ「株安、ドル安、債券安のトリプル安」に見舞われる可能性がかなり高いと見ておくべきだ。

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